今週のメイン・イベント米8月の雇用統計。予想は前月比の雇用増(非農業部門)22万人から23万人程度。失業率は6.1%というものだった。このところ経済指標で好調なものが多かったことから、雇用増の20万人超は間違いなかろう・・・・と思われていた。仮にそうならば、7ヵ月連続で20万人超の増加となった。1999年の米国がITバブルで沸きに沸いていた時期以来のことだった。
ところが、そう簡単にはいかなかった。予想を8万人ほど下回る14万2000人の増加となった。サプライズといっていいだろう。元より振れの大きい指標として知られる雇用統計だが、このところは安定的に20万人超の雇用増を続けていたこと。さらに他の指標に強気の内容のものが増えていたことから、予想に沿った結果に終わると見られていた。失業率は予想に沿った6.1%となった。労働参加率は62.8%と0.1ポイント落ち、このところの水準から大きな変化なし。とはいえ依然として36年ぶりの低水準。正規雇用を求めながらパートタイマーに甘んじている人々も実質的な失業者とみなす広義の失業率(U6)は前月の12.2%から12%に改善。個別にみれば改善している部分もあるのだが、いかんせん雇用増の14万2000人は見劣りのする数字。
発表直後から金価格はショートカバーと見られる買いで10ドルほど駆け上がり1270ドル台に。しかし、戻りには売り圧力も強く、結局前日の水準近くで取引を終了。ウクライナで停戦合意と流れたことが売りを誘ったと見られるが、通常取引終了後の時間外で買い直しの動きが見られた。停戦合意については、NATO(北太平洋条約機構)首脳会合を睨んだプーチンの小細工のような印象は拭えない。