今週末から1週間の間に控えるイベントを前に、市場横断的に様子見的な相場展開が広がっている。引き続きNY金は、ドル指数(DXY)の上下動に沿って狭い範囲で1300ドル前後をホバリング中。債券市場もイタリアの政治危機に際してリスクオフから米国債が買われ、長期金利は3%割れに至ったが、その後2.9%台で滞留した状態となっている。株式市場ではナスダックが一人気をはく状態で、過去最高値を更新、やはりアップルなどFANGは強し!という感じ。
市場の膠着状態は、この週末(8-9日)のカナダでのG7首脳会合、来週12日の米朝首脳会談に連邦公開市場委員会(FOMC、12-13日)と大型イベントを控え、金に限らず市場全般が模様眺めの中にあることを表している。政治的イベントは予測が難しいが、特にトランプ大統領就任以降は、連続性を断つような不規則発言も多いことから、米国が関連するイベント前の市場で警戒感は高まりやすく手控え気味に推移することで、ボラは低下。その後の結果を受けて、ボラティリティ上昇の乱高下というパターン。
一方で、足元で発表される米国指標は強いものが増えている。5日は、5月のISM製非造業景況指数の発表があった。58.6と4月の56.8から上昇、予想の57.6も上回った。3ヵ月連続で低下していたが4ヵ月ぶりに上昇。もっとも、活動の拡大と縮小の分岐点となる50ポイントは100ヵ月連続で上回っている。
細目では、主要項目となる新規受注が60から60.5に上昇。雇用は54.1と53.6から上昇。支払価格も64.3と61.8から上昇となった。支払価格などは過熱気味に拡大しているといえ、コストの上昇に対する懸念が広がっている。このあたりを来週のFOMCにてインフレリスクの高まりと捉えられると、利上げ加速観測の高まりにつながることになる。