亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「収縮」への対応を見合わせたFRB

2011年11月03日 23時54分55秒 | 金融市場の話題

さてFOMCは報じられているように、QEⅢの実施ということには至らなかった。むしろ政策的には、前回9月の決定事項の踏襲ということになった。成長率は下方修正し、回復ペースは、「著しい下振れリスク」・・・という見方も同じ。声明文では追加的なアクションを示すことも、それを示唆することもなかった。意外にもシカゴ連銀のエバンス総裁が追加緩和に踏み切らないことを理由に反対票を投じていた。同総裁はハト派で知られており、8月のFOMCの時点ですらQEⅢの導入を唱えていたことは、後の議事録と本人の講演から明らかになっているので、追加緩和を唱えることに意外性はないが、反対票まで投じたのは意外ということ。現状に対する危機意識が強いと見られる。いずれにしても、表面的な政策は変らなかった。

 

しかし、市場はこの結果に失望や悲観を示さなかった。予想外に発表後の市場は金を含め静かだった。それは声明文や景気見通しの発表後に実施されたバーナンキ議長の記者会見に、この先の緩和策の拡大の可能性を市場が読み取ったことによる。当座の見通しに楽観もさせず期待を潰すこともしないという方針を掲げていたとするなら、大成功といえた。113日づけの日経電子版は、「住宅ローン証券の購入も選択肢」FRB議長-との見出しを掲げた。9月のFOMCにて静かに再投資を決め実行に移し始めた住宅ローン担保証券(MBS)やエージェンシー債(機関債)の買い入れについて「実行可能な選択肢」として「状況が適切になれば、答えはイエスだ。この件を検討することは確実」とした。FRBは住宅セクターに的を絞るのは、政策手段が限られているオバマ政権との連携という意味合いもあろう。

 

それにしても思うのは、いま世界金融はユーロ圏を基点にして収縮傾向を強めようとしている。ドイツがECBの出番を徹底的に締めようとすることもあり、本来であれば資金供給を増やす局面で締めるという流れにある。実体経済よりも金融経済の変化は急激に起きるのは言うまでもないだろう。センチメントもまた移ろいやすい。当方は補完的にFRBは追加緩和に踏み込む可能性を考えていた。これは時期がずれただけだろう。エバンス総裁の危機意識もこの辺りにあるのだろうか・・・・。

 

金価格は、NYの取引時間帯に入り1750ドルを再び超えて来た。


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