亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

抜けられない、除名もできないギリシャ

2011年11月04日 22時24分33秒 | 金市場

連日のように金融材料になる、したがって金市場の材料になるイベントが続いている。週初から市場の波乱要因となっていたギリシャ問題だが、捨て置けぬと、パパンドレウ首相はカンヌに呼び出され、独仏首脳を中心にEU関係者とギリシャとの会談が持たれた。サルコジ、メルケルともに「何を考えているんだ!」と言わんがばかりの記者会見の様子だった。英BBCのニュースでは「ユーロの爆発はヨーロッパの爆発(サルコジ)」で元々我々はギリシャにはユーロに留まって欲しいのだが、これじゃ離脱の可能性もあるぞ・・・・というニュアンスの話をしていた。日本時間今朝のウォール・ストリート・ジャーナル電子版の記事に「Europe Gives Greece an Ultimatum.(欧州、ギリシャに最後通牒)」というものがあった。一部で伝えられているように“何の事前連絡もなしにいきなり”国民投票などと持ち出すことの重要性、影響力すなわちリスクをパパンドレウ首相はわかっちゃいない!そこで独仏側も、6次支援の80億ユーロも宙に浮くんだよ、わかってるよね!・・・と迫ったというわけだ。

 

しかし、ギリシャは抜けられるのかというと、ことはそう簡単ではない。そもそもユーロの基本条約では財政危機や債務危機が発生することを想定していないために、金融支援の制度自体も用意されていなかった。したがって昨年のギリシャ危機勃発に際し、EFSF(欧州金融安定ファシリティー)を創設した経緯がある。不可逆的というか、ユーロは制度的に後戻りし難いシステムになっている、というか、後戻りを考えておらずEU(欧州連合)には基本条約で自発的脱退の規定があるのだそうな。しかし、ユーロからのみ脱退することを認める規定はないし、除名の規定もないとのこと。仮にギリシャの脱退となると現行ではユーロ参加時に虚偽申告をしたということで遡って無効ということにするしかないらしい。結局、抜けないし抜けさせない・・ということか。条約を改正すれば別だけど。

 

ところでギリシャ国債の50%減免だが、あれは民間銀行について適用されるもの。政府部門の保有分には適用されない。それで買い支えたECBの持ち分が多く、想定する比率の債務の減免ができないという側面があるらしい。やってみて初めて見えてくる壁をいうのは、どの世界でもあるもんだ。

 

さて、雇用統計がさきほど発表された。失業率は9.0%に0.1ポイント下がったが、ソウデスカ・・という感じ。雇用者数が9.5万人の市場予想に対し8.0万人と下回った。ただし前回9月の10.3万人が15.8万人に上方修正されたのが目についた。以前であれば、雇用増予想に届かず ⇒FRB緩和方向 ⇒ドル弱含み ⇒金上昇・・という連想が瞬時に働き価格は動いたが、目立った反応なし。緩和策もゼロ金利を超え、「量的」なものを問う環境に入り、しかも短期、異例のものではなく常態化していることが、無反応の背景か。。。


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