週末8日金曜日は、米6月の雇用統計の発表を前にして、非農業部門雇用者数(NFP)の 市場予想が前月比先25万人増と5月(39万人増)から減速する見込みとなっていることを取り上げ、上振れの可能性を指摘した。と言うのは6日に発表された5月の雇用動態調査(JOLTS)で求人数が1125万4000件と6カ月連続で1100万件を超えていることを指摘した。市場は、前日に発表された7月2日までの週次の新規失業保険申請件数が、前週比4000件増加し、23万5000件と1月以来6カ月ぶりの水準になったことも加味し、労働市場の減速を読んでいた。
果たして結果は報じられたように、NFPは前月比37万2000人増と市場予想の25万人増を大幅に上回った。失業率は3.6%と、4カ月連続で横ばいで推移した。新型コロナ禍前の水準で50年ぶりの低水準となる3.5%近辺を維持した状態となっている。平均時給は前年同月比5.1%上昇と市場予想(5.0%上昇)以上に伸びた。安定したペースでの賃金上昇が続いていることを示し、今月下旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%の追加利上げを正当化する内容となった。 この市場予想になかった上振れに対する市場の反応は複雑だった。
米労働市場の強さを改めて意識させ過度の景気懸念が和らぐ一方で、高水準の利上げペースが続くことも思わせ、株式市場は上下に価格が振れ、反応には戸惑いを感じさせた。 前日には、ウォラーFRB理事が、7月のFOMCで0.75%の利上げを支持すると改めて表明したうえで、その次の9月会合では「0.5%、それ以降は0.25%に縮小できるか協議したい」と述べていた。減速を前提としたかのような発言だったが、蓋を開けてみれば労総市場の過熱は続いていたということに。
雇用統計発表日の8日、中米プエルトリコにて講演したNY連銀のウィリアムズ総裁は、「政策金利が年末までに3~3.5%に達することがわれわれにとって必要な措置になることは明らかだ」と発言。「インフレは非常に高い水準にあり、経済全体の健全性と安定性にとって最大の危険要素だ」とした。
その一方で、インフレ抑制に向け「断固たる」行動を取るため、「米経済成長は今年1%を下回り、2023年まで低迷が続く可能性がある」とした。ここまで成長見通しを引き下げたFRB関係者は同総裁が初めてではないかと思う。 先週末、米国株は踏みとどまったが、下げていても不思議はない雇用統計の内容と思った。その分、週明けに売られそうだが、どうなるか。しかし、悪いニュースは良い知らせ。良いニュースは悪い知らせという、米株市場の反応もそろそろ終わり・・・と思うが。