週明けのNY市場が市場横断的に幅広く方向感に欠けたのは、本日7日から2日間の予定で開かれるパウエルFRB議長の公聴会(議会証言)を控えてのこと。
初日の本日7日は上院銀行委員会にて金融経済の現状分析の報告を行った後に委員との質疑応答が予定されている。このところ米国経済の強さを示す経済指標の発表が相次いでいることから、金融引き締めに積極的なタカ派的な内容になるとの観測が高まっているようだ。
市場の警戒感を体現するように、週明け6日の米国株式市場は、主要3指数ともに終盤に向けて上げ幅を削ることになった。同様にNY金もNY時間外の終盤に上げ幅を失い、通常取引終了後の時間外取引は小幅にマイナス圏に入り終了した。 NY金は時間外のロンドン早朝には一時、前週末の時間外での高値に接近する1864.30ドルまで買われた。先週は一時昨年11月以来の高水準4.088%まで利回りが上昇した(つまり価格は下落した)10年債が、押し目買いに3.9%割れを試すところまで低下、ドルも弱含みに推移し、金は買われやすい状況だった。しかし、それも株式市場同様に終盤に上げ幅を失い、前日比変わらずとなった通常取引終了後の時間外取引は、小幅にマイナス圏に入りそのまま終了した。
パウエル議長の発言に関しては、他のFRB高官同様に利上げ回数の延長を示唆するものと思われる。
3月含め5月、6月と今後3回の連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ実施については、現時点で市場は織り込んだ状況にある。つまりその範囲の発言内容ならば、無風で通過ということになりそうだ。しかし、それはないだろう。
今回の議会証言にあたり、議会に提出される報告書が先週3日に事前公開さた。その中に2月1日のFOMC後の記者会見にて「(物価上昇が鈍化する)ディスインフレのプロセスが始まった」と発言し、注目された「ディスインフレ」という表記は見られなかった。これが果たしてタカ派色を強めることを意味するのか否か。
この点で浮かぶのは、先週まで連日伝えられたFRB高官の講演などの発言内容の内、2名のFRB理事の発言内容だ。 1人は2月17日のボウマンFRB理事、もう1人は3月2日のウォラーFRB理事の発言で、共通するのは(これまでの)FRBのインフレ対応にどれだけ効果があったのか疑問が出ているということ。
したがって、今後数週間で発表される指標をこれまで以上に注視しているとした。
2月に明らかになった一連の上振れ指標がFRB内部でも政策見直しを迫っているとみられ、この辺りをパウエル議長がどう表現するのか。市場の受け止め方にもよるが、値動きが大きくなる可能性がある。
いわば軒並み上振れた2月指標の総括が、本日のパウエル証言ということに。