亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

FRBも戸惑う指標の強さだが・・・水面下で

2023年03月03日 20時21分23秒 | 金市場

米10年債を中心に米国債利回りが上昇基調を強めたにもかかわらず、前日は続伸となったNY金だったが、さすがに2日は反落となった。。前日は弱含みに推移したドルが上昇に転じたこと。さらに米10年債利回りが昨年11月以来となる4%を上回って上昇したことが、終日売り優勢の流れにつながった。それでも4.90ドル安の1840.50ドルと、このところの印象通り底堅い展開といえる。

 

FRBが強気の引き締め政策を続けられる大きな背景に、米労働市場の強さがある。

この日発表された2月25日までの1週間の新規失業保険申請件数は前週から2000件減の19万件となり、市場予想(19万5000件)も下回った。節目の20万件割れは7週連続となる。通常は注目度の高くない指標だが、歴史的利上げを続けてきたこのタイミングでの連続節目割れは、強いの一言につきる。

1月の米雇用統計のNFP(非農業部門就業者数)が51万7000人増となり、イレギュラーな要因を映したもので、来週には下方修正との見方を否定するほどの実績といえる。

 

2日のデータでインフレとの関連で注目されたのが、昨年10~12月(第4四半期)の米労働生産性指数(確定値)で、単位労働コストの伸びが速報段階から上方修正されたことだった。 これも以前ならそう注目されない指標だが、粘っこいインフレの背景が人件費の上昇があることから注目されるもの。

前期比年率で3.2%上昇し、先月発表された速報値の1.1%上昇から上向きに改定された。企業の賃金負担の高まりを表し、賃金インフレがFRBの一段の利上げを促すとの見方につながり、米債利回りを押し上げた。

 

10年債利回りは、一時4.088%と昨年11月10日以来の高水準をつけて4.062%で終了。FRBの政策方針を映しやすい2年債利回りは一時4.966%と、約15年ぶりの高水準を付けた。また30年債利回りも一時4.049%まで上昇し、3.996%で終了。すでに5%を上回っている6カ月、1年ものを含め1カ月から30年債まですべての年限で4%を超えることになった。発表されたユーロ圏の物価上昇が根強かったことで、NY時間外ですでに上昇していたが、米労働指標を受け一段と水準を切り上げた。

こうした動きに前日は下げていたドルもさすがに上昇。主要通貨に対し買われ、ドル指数(DXY)は105.180まで上昇し105.027で終了。ゴールドは売られやすい環境だった。

 

今週も連日FRB高官の発言が続いているが、この日はタカ派とされるアトランタ連銀のボスティック総裁が、今月21~22日の連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げが望ましいと発言。2月中に発表された指標がインフレの根強さを示す中で、利上げ幅が0.5%に拡大するとの見方も浮上していたことから、株式市場などでは買い安心感につながったとされる。

一方、昨日ここに要注目と書いたウォラーFRB理事の発言内容は、2月に続いた強気の指標を受けて以前よりタカ派の印象だった。 このところの経済指標で労働市場が「過度に」力強く、FRBのインフレ対応にどれだけ効果があったのか疑問が出ているとした。その上で、今後、数週間で発表される指標で雇用が減速し、1月に予想外に加速したインフレ率が再び低下していることが示されれば「あと2、3回の利上げを支持するとした。ただし過熱が続けば、「政策金利は年内にさらに引き上げなければならない」とした。

このところ定番の「今後のデータ次第」ということだが、昨年の3倍速(0.75%)利上げ4連荘でも効いていないのかという、意外感を感じさせる発言といえる。

 

最後に今朝のニュースで投資会社ブラックストーンが発行したフィンランドの不動産を裏付けとする商業用不動産ローン担保証券(CMBS)が、デフォルトになったというニュースがあり当方のチェックリスト入りとなった。昨年秋以降、増えているが、流動性の低い不動産関連のファンドや証券化商品の解約制限や償還延長などが増えている様子。すぐに何かが起きるわけではなかろうが、よろしくないというよりもヤバイ流れ。ゴールドの底堅さは、こうした環境も関係しているかもしれない。。。。ですよ。

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