週明け22日のNY金は3営業日ぶりにの反落となった。主要な経済指標の発表もなく手掛かり難の中で米国の早期利下げ観測の後退が上値を抑え、売り優勢の流れが続いた。先週末比7.10ドル安の2022.20ドルで終了。
ここにきて発表される米経済指標が悪化予想を覆すものも出るなど底堅さを示していることから、FRB高官の早期利下げ牽制発言も、こう書くと語弊がありそうだが、信ぴょう性を増している。
従来、長期金利上昇につながる利下げタイミングの後送りを悪材料視していた株式市場は、むしろ景気の堅調さを増益基調継続と捉え、過去最高値の更新につながっている。22日もダウ30種平均株価は過去最高値を更新し、初めて3万8000ドル超で終了した。多くの機関投資家が運用の指標としているS&P500種平均も終値ベースで連日の最高値更新で終了した。いわゆる、リスクオンの市場センチメントが続いている。
22日に発表された23年12月の米景気先行指標総合指数は、0.3%低下の市場予想に対し0.1%低下と落ち込みは小さかった。市場は、景気下振れの可能性は薄れていると受け止める。
こうした中でNY金が比較的底堅く推移している背景には、旧正月(春節)接近で、中国の需要期に入っていることがある。
ここに来て中国株式市場の下落が目立ち、国際金融市場の注目材料となっている。中国国内の上海総合株指数は、終値直近で昨年12月12日の3003.44ポイントを最後に節目割れとなり、1月22日の2756.34まで247.10、8.2%もの大幅下落となっている。 国際調査機関ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の資料では、23年の人民元建て株式指標は年率で11.4%の値下がりに対し、国内人民元建て金価格は16.8%の上昇と明暗を分けている。23年は中国国内個人の間でも中央銀行である中国人民銀行による金準備の積み増しが、一種の安心感をもたらし個人の金需要が高水準を保った背景となった。
こうした買いは金のETF(上場投信)にも向けられており、23年は中国の残高は10トン増え61トンに達したとしている。一般に現物志向が強い中国ではETFより地金、宝飾品に資金は向かう。
金ETFに関しては23年通年で、全体で244.4トン残高が減少した。欧米(北米・欧州)に限れば、262.3トンの減少となった。この内74%、180.4トンが欧州(英国、ドイツ)の売りが占めている。米国を意味する北米が81.9トンの売り。アジアは先の中国の10トンを含め19.1トン買い越しとなった。その他が1.1トンの減少で全体で244.4トンの残高減ということに。
この金ETFのアジアや中東の個人や新興国中銀の買いに吸収されたことになる。 金ETFに本格的な資金流入が見られるときが、大きく高値を更新する時となりそうだ。