米12月の小売売上高が予想を上回ったことに加え、もともと注目されていたものの内容的には新鮮味がなかったウォラーFRB理事の発言が意外に効く形で17日に一時2004.60ドルまで売られたNY金。18日には2000ドル割れを試すことも想定されたものの、むしろ逆風の中で地政学要因から踏みとどまった。
結果的に2000ドル割れに至らなかったことでテクニカル面で弱基調に転じることは回避されることになった。
18日は朝方発表された13日終了週の米新規失業保険申請件数は、1万6000件減の18万7000件と2022年9月以来の低水準となり、1月も雇用の伸びが堅調なことを示唆した。前日までのように好調な指標を受け米債市場では売りが先行し、3営業日続落に。長期金利の指標となる10年債利回りは続伸し一時4.158%と12月中旬以来の水準に上昇。
債券先物の値動きから市場が織り込む政策金利予想を算出する「フェドウオッチ」は、3月の利下げ確率は57.1%となっている。昨年末は90%、1週間前は73.2%だった。もっともフェドウオッチなる指標は足元のセンチメント示すもので、移ろいやすく大した意味はない。
FRBの利下げのタイミングについては年央というのが一般的な見方となっている。 米長期金利の上昇はドルをサポートし、ドル指数(DXY)は103.536と5営業日続伸となった。長期金利同様1カ月ぶり高値水準となる。
金市場に影を投げかけたのはイラン。16日にイランがパキスタン領内のイスラム教スンニ派武装組織に対し武力攻撃を仕掛けたが、18日はパキスタンがイランに報復攻撃を実施。緊張拡大が懸念されたが、その後の発言から双方がそれ以上の拡大を望んでいないと受け止められ小康状態に。ただし、そもそもイラン側が射程距離の長いミサイルの威力をパキスタン相手に試したとの見方もあり、米英軍によるフーシ派拠点への空爆が続いている折でもあり、一定の緊張は維持されている。フーシ派拠点の空爆を続けているものの米軍は戦線拡大の意思は全くない。それを見越したイランの牽制という構図か。
本日はサンフランシスコ連銀デイリー総裁の発言。たぶんウォラー発言と似通ったものになるのだろう。後はミシガン大の期待インフレ率がどうなるか。それと中東情勢。そう大きな動きにはなりそうもないが。
来週はブラックアウトでFRB関係者の発言はなく、後半の10-12月期米GDP速報値とインフレ指標(コアPCEデフレーター)が注目点。月末月初はイベントが控える。