諸般重なり昨日は更新できず。12日の市場では1350ドル超で踏ん張っていた金価格がついにNYの早朝に1350割れに落ちると、それを合図にするように通常取引開始前に売りが膨らんだのは、テクニカル主導の売りとみられた。(オプション取引を除いて)過去最大のネット・ロング(買い越し残)31万5963枚(重量換算982トン)を抱える内部要因からは、売りが出るのは自然な流れ。ちょうど金融市場が前週までのリスク・オフからオンに移行した、裏腹の関係になっており、円やスイスフランと同じ流れといえる。
英国では、空白期間が長引くことで金融経済の不安定化が懸念された次期首相選びで対立候補が急遽降りるという、今回の政局で頻発した“逃亡劇”が再び発生。「雨降って地固まる」のことわざよろしく、メイ新首相のもとで経済的ダメージの小さいEU離脱の方向性が模索されるとの期待もあり、一時は31年ぶりの安値に沈んでいた英ポンドが急騰。中央銀行であるイングランド銀行が8月にも緩和策の拡大からゼロ金利を視野に入れたとみられることもあり、日本の大型経済対策への期待からの株価の大幅連騰もあり、グローバルなリスク・オフ気運が高まることになった。
先週までのショートの巻き戻しが、目先の不透明要因が消えたことから同時多発的に起きたのが足元の“リスク・オン・ラリー”の中身ということ。最初に書いたように金市場では、買い建玉(ロング)の整理が進行中で、やっと調整局面入りの様相ということに。年始からの金の上昇は、何か明白なイベントがあってのものではなく、金融環境の流れの変化を映したものと捉えている。そこに今回やっと“Brexit(ブリグジット)”というイベントが加わり、跳ねた部分の調整が行われているという印象。
いわゆる1280ドル以上は、イベントードリブン型上昇がもたらしたもので、環境が織り込まれるにしたがい、価格水準の調整も進むイメージ。
スピード調整になるか否かは今後の市場環境にもよる。リスク・オン環境が続きやすいとみられる8月中旬あたりまでは、レンジ相場入りとみる。