先週末ににわかに起きたトルコのクーデターの失敗というか未遂なのか、いずれにしても政権転覆を狙って蜂起した一派は粛清されることになったようだ。この問題はすでに次の段階に移行しており、事件を自らの足元を固めるきっかけにしようとエルドアン大統領側が反対派の一掃に乗り出す行動に出ているようだ。相当数の司法関係者が含まれており、クーデターの企てを口実に一網打尽の勢いとされる。強権的な力で抑え込もうという政治は、さらなる反発を招くことになる。トルコは、不安定要因を拡大させそうだ。
さらに反対派一掃の中で、エルドアン大統領が一度は廃止した死刑制度の復活を口にしてるとされる。2002年にEUとの加盟交渉のために廃止したとされる。というのもEUは廃止しており、EU加盟の要件として死刑制度のないことも条件に入れていることによる。これまでEUに加盟したくて列に並んでいたものの、なかなか声が掛らない背景は、キリスト教世界とイスラム世界の異質性をあげるEU側の指導者の存在も指摘されてきた。
今回、エルドアン大統領自ら死刑制度復活を叫び始めたとなると、EUとの加盟交渉自体が打ち切られる可能性も出てくる。地政学的要因を考えるならEUのみならず米国にも痛い話になりそうだ。かかる不安定要因の拡大の中で、カネ余りに起因した株高が続くには限度がある。