亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

回復しない貸出、それを示す住宅販売のマイナス

2009年10月29日 23時32分45秒 | 金市場
28日は報じられているように米国9月の新築一戸建て住宅販売件数の発表があったが、結果は予想外の前月比マイナス3.6%。予想値がおおむね年率44万戸に対して結果は40万2000戸と大きく下回ることとなった。6ヵ月ぶりの前月比減少。ちなみに8月は42万9000戸だった。

米国では住宅の新規取得には特別減税が実施されており、その適用が11月で切れる予定となっており、申請から認可まで時間を要することから9月は駆け込み的な購入が見られるとの前提で、販売の伸びを予想する見方が多かった。それだけに、この結果が市場に与えた影響は大きく、NYダウ始め株式市場も大きく下落。いわゆるリスク投資回避との見方から原油など商品市場も下落、逆に為替市場では主要通貨に対しドルが買われることにつながった。

それにしてもメディアでは今回の結果から政府の住宅市場テコ入れ策としての特別減税の延長見通しの有無とその内容が話題となっている。それもあろうが根っ子の部分の問題は、金融機関が与信を絞りカネを貸せなくなっていることではないかと思う。実際に米国の金融機関の貸し出しは、ユルユルの金融環境にも関わらず減っている。つまりFRBなど金融当局が掲げる貸し出し増加による景気回復への道筋は、順調には進んでいない。その実態の一端を示しているのが今回のデータといえる。

この流れのなかで、金市場でもファンドの手仕舞い売りが膨らみ続落となった。9月初旬に1000ドルを突破した後の高値となっていた9月17日の1025.8ドルがサポートラインとなっている。1040ドルを割ったあたりから“実需の買い引き合い”という話が伝わるが、鉱山ヘッジ解消の買い戻し(ディヘッジ)なども入り渾然としているといえよう。

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2 コメント

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楽観論について行けない (ささやか)
2009-10-30 08:43:42
住宅特別減税の延長はある意味で需要の先食いにつながる気がします。
消費者は住宅を買うと一時的に家電・家具などの大きな消費もするけど、その後は長く節約してローン返済します。日本の土地バブル崩壊の過程を生きてきた私の生活実感なんですが…
バブル崩壊の傷跡は景気回復で打ち消すのが一番良いけど、雇用の安定が見込める景気回復でないと消費需要の本格回復は難しい気がします。
ゴールドの事がないコメントですみません。
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強欲にもほどがある (ライラック)
2009-10-31 23:28:37
そのFRBからほぼ0%で借りたお金で大手銀行は貸出などせず、米国債を買って3%の利ザヤを稼いでいる。ドルキャリートレードである。リスク無(今までは)で高収益をあげ役員報酬に充てている。不良債権は飛ばしで公表しない。
とても日本人の感覚では想像できない厚顔無恥な奴らだ。モラルハザードもはなはだしい。
私はアングロアメリカンを信用しないし、アメリカ合衆国という国はソビエト連邦のように消滅するように思える。神が許されるはずがない。
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