亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

Goldilocksからシンプル・イズ・ベストへ

2007年12月11日 22時53分13秒 | 金市場
シティ・グループへの資金注入に続き今度はUBSでも資本の取り込みが発表された。以前の金融危機の時に比べ欧米の金融機関は自己資本の厚みが格段に増しており、今回のサブプライム問題も乗り越えられると説明されてきたし、投資家も金融界自体もそれを信じてきた。ところが、思った以上に傷が深いのは結局、利益効率を追求した咎(トガ)ということだろう。

早い話があらゆる対象にレバレッジを効かせた投資をやっていたということ。ヘッジファンドのなかでもとりわけリスキーなファンドに限らずそうした手法は一般化していた。思えば2006年を通して聞かれた言葉は「Goldilocks(ゴルディロックス)」。童話に出てくる女の子の名前で、そのストーリーに出てくる堅過ぎず柔らか過ぎないイスやベッド、また熱過ぎず冷た過ぎないスープなどから、インフレになるほど過熱はしていないが、かといって失業率が上がるほど悪くもないという景気の状況が米国で続いていた。Goldilocks Economyなどと欧米のエコノミストは表現し、こちらではあるシンクタンクが「適温経済」などと訳語をあてていて、なるほど、うまく表現したなぁと思ったものだった。その時にいまのサブプライムローンが蔓延(はびこ)っていた。ドンドンドンドン証券化され、さらにそれらが他のローン(債務)と組み合わされ新たな証券を生みだし、更に組み合わされというふうにして、世界中にばら撒かれた。良くいえばリスクを皆で負担したわけだが、その過程で大儲けした証券を作って転売していた主体(シティ他)がおり、今回その主体が傷んだからといって救済に向かおうと声掛けしても(スーパーファンドという名の不良資産買い取り機構)皆引いてしまった。そして結局、カネのあるところに頼らざるを得なくなった。俄かに浮上したのが政府系ファンド。

結局、ITバブル崩壊の後のように、次々と“こんな所も傷んでいるんだ!?”という事例が噴出。否、あの頃よりグローバル化とIT化が進んでいるので規模は広範囲で大きい。いわば闇は深く、また深く見せて該当証券を買い叩いて儲けようとの試みもあって、わけのわからない展開。その中でシンプル・イズ・ベストとまた金ETFに資金が・・・。

夜明け前にFOMCの結果が。。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 続、米中戦略経済対話 | トップ | (慌てるなかれ)金市場には... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事