さまざまな神話が収録されているのも魅力だ。
英雄べレロポンの物語。彼はリュキア(今のトルコ南部)で海賊とアマゾンを退治したが、報酬を得られなかった。そこで彼は海神ポセイドンに頼み、津波で土地を水浸しにした。リュキアの女たちが着物の裾をまくり上げ、女性器をあらわにして懇願すると、べレロポンはそれ以上の報復を断念した。
この神話をどう考えるか。「べレロポンは、女たちのおまん攻撃を受けて、轟チンした」、あるいは、「副交感神経が刺激されて、闘争心が減退した」、というのが普通の解釈だろう。
バッハオーフェンは、違う。「あなたも母親から生まれてきたはず。だから、これ以上母なる大地(農耕を知る人類が持つ普遍的な観念)を荒らすのはやめてください」。これが、女たちの行為の意味なのだという。
さすがは天才。ワシにはとても真似できないにゃ。