Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

脱沖縄感

2009年07月05日 | 家・わたくしごと
 博士課程の研究発表会で四件の沖縄文学や民俗の発表を聞いた後、関係者で暑気払いの会を開く。二次会には行かずに、最近、何度か行く機会のあるCAFEのようなBAR「土」に一人で顔を出した。このお店、東京の友人に紹介されて最初に行ったのは3月で、なぜかすっかり気に入ってしまった。なかなか私にとってそういう店はないのだが、民家そのものという店の雰囲気、マスター、照明などどれをとってもしっくりくる店なのである。自分の家のような感覚や居心地(もちろん私の家はそんなお洒落ではないのだが)というのはまさにこのことをいうのだろう。
 一人で行きたくなるようなこの店の魅力というのは何なのだろうかと考えてみる。すると一つのことに気がついた。この店は自分の好きな要素を持つだけでなく、「沖縄」の香りをほとんど感じないのだ。もちろん、そこには沖縄の人も来るし、沖縄の写真や絵も時にはギャラリーで眺めることができる。マスターは「泡盛」も飲む。そういう意味で全く店から「沖縄的なもの」を排除しているわけではない。しかしなぜか私はこの店で、そういった「沖縄的なもの」を、ある一定の距離を持って、冷静に眺めることができるのである。
 一つにマスターが関西人であるということ、そしてカウンターで飲む方々もやはりヤマトンチューが多い気がするのだが。そんな雰囲気の中での沖縄の話は、すべての人にとって距離を感じ、だからこそ好奇心の対象として店の中で生命力を持つ。居心地のよさはその環境にあるばかりでなく、私を落ち着かせてくれる「脱沖縄的要素」というのがそれを何倍にもしてれくているのかもしれない。「沖縄」から逃れたいという願望を持っているわけではないが、やはり「沖縄」という言葉に少し疲れているんだろう。そういう意味で「土」は私にとって快適な空間である。