Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

キップ・カレー kip curry

2009年07月29日 | 家・わたくしごと
 朝早く起きて冷蔵庫を開けたら、「パンにのせて食べていい」と書かれたポストイットの貼られた銀色のボールを見つける。中を覗いてみると、かみさんが私が眠りについた後、夜遅く作ったキップ・カレーが入っていた。キップ・カレーといっても日本人には聞きなれない言葉だろう。キップはオランダ語の鶏肉のことで、薄くカレー味のついた鶏肉のことなのだ。といってもこのキップ・カレーはオランダではサンドウィッチに挟む具のことである。
 オランダのスーパーに行って驚くことは、とにかくサンドウィッチに挟む具が多いことだった。具といってもハムとかチーズ、ジャムはもちろんのこと、ツナ、ポテトなどなど、すべて日本でいう1リットルのアイスクリームが入っている大きく丸い入れ物で大量に売られているのである。つまり蓋をあけて、ナイフでパンに載せるだけで簡単にツナサンドができてしまうわけだ、オランダ語がよくわからない頃、私はスーパーにいくたびに一番小さい入れ物に入ったサンドウィッチの具を順にひとつづつ買って挑戦した。正直、最後まで食べるのに相当苦労した種類もあったのだが、このキップ・カレーはかなり美味だった。家族が来たとき、ほとんど毎日、キップカレーでサンドウィッチをつくり、出かけるときにも「お弁当」にして、オランダ生活にこの食材は不可欠といった日々を送った。
 日本に帰ってから、かみさんはたまにこれを作ってくれたが、やはりオランダのようにすぐ買える方が楽だし、鳥のささ身からこれを作るのはそれなりに時間がかかる。オランダから戻ってからの年数が一年、二年と経過するとともに、キップカレーもわが家から少しずつ忘れられていったと思いきや・・・突然のように今朝、冷蔵庫にキップカレーが現れたのだ。もちろん嬉しい。大好きなのだから。しかし、私はなぜ突然のようにこのサンドウィッチの具が再び登場したのかを考えている。かみさんが突然、思い出して食べたくなったと考えるのが普通だが、しかし、ここにはもっと深遠なるメッセージがこめられているとしたらどうだろう?たとえば、そろそろ「オランダ」にいきたいなあ、なんていう私へのメッセージだったとしたら・・・。