【副題】教員によるきょうだい児の認識とかかわりの現状分析から 『社会福祉学』第62巻第4号
きょうだい児に対する教員の認識を明らかにし、学校教育における組織的なきょうだい児支援の在り方について検討することを目的としている。
方法として、教員に対する質問紙調査を実施している。自由記述では、苦悩しながらもきょうだい児と向き合おうとされている教員の姿を知ることができ、現状を丁寧に取り上げている印象を受けた。
引用
・学校生活における影響については、3割弱のきょうだい児に行動面や学習面などに関する影響がみられると教員は感じており、(中略)きょうだい児が必要以上に努力する様子や常に周囲に気を遣うなど学校生活上の過剰適応と捉える記述も示された。
・調査を通じて、教員が家庭の事情を詳細に把握することの困難さがあることが分かった。(中略)教員はきょうだい児の生活背景の一部を捉えることは可能であるとしても、(中略)きょうだい児の生活状況に応じて個別に直接的な支援を提供するには制約がある現状が想定される。
・今回の調査では、きょうだい児への対応については教員個々の努力による解決が図られており、学校専門職との連携を踏まえた組織的な対応事例は限られていることがわかった。
領域を問わず、支援の一番最初の最初は「有志」や「熱い想いのある人」など、個人の裁量(力量?)によって担われている。きょうだい児支援はようやく学術的にも注目をされるようになり、「専門的に」「組織的に」の取り組みの第一歩になり始めているのだと思う。
医学が発達し、一命をとりとめることが可能になった新生児が増え、医療的ケア児への支援が進んでいる。医療的ケア児には、きょうだいがいるかもしれない。そのきょうだいが支援の一端を担うことも少なくないであろう。それを考えると、医学、社会福祉学、教育学、心理学などなど、横断的な支援の検討がより一層、重要になってくるのだと思う。
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