社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

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「遺族ケアのニーズと現状に関する基礎調査研究-遺族のリスク評価法の開発-」 高山圭子

2011-08-09 15:09:56 | 看護学
『日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団 2003年度調査研究報告』

前年度の調査結果を受け、限られた時間・人材のなかで適切な遺族ケアが実施できるよう、リスク評価法の開発を試みている。本調査はその初段階で、評価尺度として適切な項目の選定等、検討材料の抽出を試みている。

引用
先行研究より
⇒・遺族のリスク評価でしばしば評価される要因は、社会的、個人的、環境的の3要因である。
 ・遺族のリスク評価を行っていたホスピス・緩和ケア病棟のうち、81%は患者の死の直後もしくは1週間以内に評価していた。

・公式の遺族のリスク評価尺度として、Parkes&Weiss(1983)によって開発されたBereavement Risk Index(BRI)がある。この尺度は、故人享年、経済的状況、死までの準備期間、執着と思慕、怒り、自責の念、家族のサポート、臨床家による予測、という8項目によって構成されている。

調査結果より
⇒遺族の自己評価によるリスク評価と心身の健康状態との関連。次の項目にそれぞれ該当すると回答した遺族は、心身の健康状態が悪い傾向にあることを示した
①私は当時、過去の喪失体験をうまく乗り越えられていなかった
②私は当時、患者を除く、他の家族構成員との関係が良くなかった
③私は当時、怒りやいらだちの感情を抱いていた
④私は当時、患者の死に対する心の準備ができていなかった
⑤私は当時、不安が強かった
⑥私は当時、過去にカウンセリングや精神科を受診した経験があった



少ない時間、人材で、いかにして適切なケアを提供するか。
約10年前からすでにこういった試みに着手していたことに、正直驚いた。この調査結果をもとに作成されたであろうリスク評価票は、現時点で、どの程度活用されているのだろうか。
以前、他の文献、もしくは本論文の筆者が所属している淀川キリスト教病院のHPで、その評価票を目にした記憶がある。公式のものであれば、多くの機関で活用できるであろうし、していくべきであろう。
それがケアの充足につながっていくと考える。
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