徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

漱石と門人たち

2022-02-01 19:05:37 | 文芸
 夏目漱石内坪井旧居の前をよく通るのだが、今、熊本地震被害の復旧工事中で休館している。2022年度中には公開再開予定という。

 フォローさせていただいているブログ「どうぶつ番外物語」さんの昨日の記事に文学作品に因んだ川柳が十首掲げられていた。その中に次の一首があった。

  「夏目筆子は ポジティブな 松岡譲に傾いて(松岡は譲られたのではなく久米正雄から奪った)

 夏目筆子とは漱石の長女で、門人の久米正雄と松岡譲との間の三角関係のことを川柳にしたもの。
 この話の顛末は久米正雄の私小説ともいえる「破船」の題材となっている。ただ、これはあくまでも久米の視点で書かれたもので、松岡側からは異論があり、いまだに論争があるようだ。また同じく門人だった芥川龍之介や菊池寛や山本有三らも絡んで複雑な様相を呈したという。だが、一番のキーマンは漱石の鏡子夫人だったようだ。

 内坪井旧居の復旧工事が始まって以来、庭園にも入れないが、以前は「筆子」産湯の井戸を眺めながら、そんなことを考えたりしたものだ。