徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

AIでよみがえる美空ひばり

2019-09-30 11:27:39 | 音楽芸能
 美空ひばりさんがこの世を去って30年。昨夜放送されたNHKスペシャル「AIでよみがえる美空ひばり」。現代の最先端技術を駆使して美空ひばりさんに新曲を歌ってもらおうというこの企画ははたして目的を達成できるのだろうか。ひばりさんの声質は再現できても譜面どおりには歌わないひばりさんの歌い方は再現できるのだろうか。期待と不安が入り混じったまま番組は進行する。分析の結果、ひばりさんの歌い方にはモンゴルの歌唱法であるホーミーと同じ「高次倍音」が含まれるという驚きの事実。ホーミー奏者の岡林立哉さんのライブは何度か聴きに行ったことがあるが、あの驚異の歌唱法を、ひばりさんは無意識に身に付けていたのか。そして、いよいよ新曲「あれから」の発表会。「川の流れのように」の秋元康さんプロデュースによるこの歌が始まると、自然と涙が溢れてくる。発表会場の人々も涙々。僕らの年代にとってひばりさんの歌声には、貧しかった昭和20年代、30年代の想い出がいっぱい詰まっている。今はない祖母や父の想い出も詰まっている。あらためて美空ひばりの存在の大きさを知る。
 映像技術など改善の余地はまだまだあると思うが、こういう形で使われるのならAIもけっして悪くないと思う。


日田祇園山鉾とウェルシュケーキと流鏑馬と

2019-09-29 19:14:34 | イベント
 九州・山口地域の40余りの祭が熊本市に集結したイベント「祭りアイランド九州」を観に行った。なかなかお目にかかれない各地のお祭りを観ることができるのは嬉しいが、素晴らしい祭りの数々をつまみ食いしているようでもったいない気がした。今日観た中で最も印象に残ったのは大分県日田市の日田祇園山鉾。そのスケール感には圧倒される。今回は熊本での巡行ということで華題は加藤清正公であることも熊本人を喜ばせたようだ。
 しばらくメイン会場であるサクラマチクマモト前を移動しながら祭を観ていたが、のども渇いたので国際交流会館内のカフェに入った。「ウェールズケーキセット」というメニューが気になって注文した。ラグビーW杯にちなんだメニューと思われるが、一般的にはウェルシュケーキと呼ばれているものらしい。小麦を練った中にレーズンを練り込み焼き上げて砂糖をまぶした質素なお菓子だ。おそらくウェールズでは家庭料理の代表的なものなのだろう。ホントは紅茶にするべきだったのだろうが、のどが渇いていたのでついアイスコーヒーを注文してしまった。来月13日熊本で行われるラグビーW杯のウェールズ対ウルグアイ戦が楽しみだ。
 国際交流会館を出て二の丸広場に上り、武田流騎射流鏑馬を観る。少し雨もパラついてきた。10月5日からの熊本城特別公開に備えて、二の丸広場南側に特設発券所が設置されたせいか、例年の馬場に比べてちょっと窮屈に見える。いつものことだが、観客を見ていると日本人より外国人の方が熱心だ。


日田祇園山鉾


ウェールズケーキセット


武田流騎射流鏑馬。馬上で二の矢をつがえる女流射手の堀さん

キンニョムニョ節

2019-09-28 21:44:24 | 音楽芸能
 8年前にYouTubeにアップした「肥後キンニョムニョ節」に、島根の竹下博文さんから、隠岐諸島の島前・海士町に伝わる、この唄の隠岐バージョンともいうべき「隠岐キンニャムニャ」をご紹介いただきました。
 7年ほど前に「キンニョムニョ」について、このブログで解説したことがありましたが、せっかくの機会なので再編集した記事をアップしてみました。

 〽 肥後の駒下駄キンニョムニョ 血達磨大川
   加藤清正キンニョムニョ
   毒饅頭 キクラカチャカポコ ちょいと来なよ

 〽 片山木陰にキンニョムニ 身は時鳥
   焦がれて鳴く声キンニョムニョ
   聞かせたい キクラカチャカポコ ちょいと来なよ

 〽 雨の夕べはキンニョムニョ 降られて帰る
   今宵月夜にキンニョムニョ
   照らされた キクラカチャカポコ ちょいと来なよ

 「キンニョムニョ」は江戸時代後期から明治初期あたりにかけて熊本の花柳界で唄われていた端唄・俗曲の一つだといわれています。歌詞は「七七七五」の口説きに「キンニョムニョ」とか「キクラカチャカポコ」など意味のない囃子詞を間に挟んでいますが、内容は肥後に関係のある歌舞伎・浄瑠璃・講談などの外題を並べたものです。口調の良い文句を羅列しただけで、歌詞として全体の意味がまとまっているわけではありません。

▼肥後の駒下駄
 家老職を務めたほどの家柄でありながら、些細なことで貶められ切腹に追い込まれた父の無念を晴らそうと奮闘する向井善九郎という侍の物語。多くの登場人物の人間模様が絡んで複雑な展開を見せる。

▼血達磨大川(細川の血達磨)
 通称「細川の血達磨」とよばれる「蔦模様血染御書」は、細川家の家宝である徳川家康 から賜った御朱印状を、火災の中に飛び込んだ大川友右衛門が切腹して腹の中で死守したという忠義の物語。

▼加藤清正毒饅頭(清正誠忠録)
 京都二条城における徳川家康と豊臣秀頼の会見に付き添った後、急逝した加藤清正には昔から民間伝承として毒殺説が存在するが、毒殺をも恐れず秀頼を守った清正の豊臣家に対する忠義の物語。

 二番、三番の歌詞については、紫式部が詠んだ次のような歌があります。
「ほととぎす 声まつほどは 片岡の 森のしづくに 立ちやぬれまし」
 この片岡というのは京都上賀茂神社の東の丘で「片山」ともよばれているそうです。この歌から発想したのかどうかはわかりませんが、おそらく「ほととぎす」や「片山」を題材とした和歌を引用しているのではないかと推測します。

 西南戦争の時、官軍の兵士として熊本へやってきた人がそれぞれの地元に持ち帰った「キンニョムニョ」の変化バージョンが、隠岐の島や長野などで唄われています。



番所の棚田で思ったこと

2019-09-27 22:04:48 | 熊本
 彼岸花もそろそろ見頃のピークを過ぎる頃かと番所の棚田へ出かけた。今年も美しい景観であることは変わりないのだが、11年前に初めてここを訪れた時の感動はなかった。その原因は年々休耕田が増え、かつての黄金と真紅の見事なコントラストが少なくなりつつあるからだと思う。やはり高地の棚田の生産性の問題や、農家の高齢化と後継者の問題が影を落としているのかもしれない。
 土日には観光客で賑わうこの一帯も、今日は平日とあってか僕のほかには誰一人見かけない。棚田の上の方まで登って降りてくると、一人の女性がスマホで写真を撮っていた。二人しかいないのに声をかけないのも変だなと思い、「初めてですか」とたずねてみた。遠目には年配者と見えたその女性が意外と若いことに気が付いた。東京から来たそうだが、大分の出身で母親の実家が鹿央町にあり墓参りかたがた観て回っているという。せっかくなので、この周辺の地形や歴史のことや大分の鶴崎との関係などについて知っている限りのことを話した。彼女にとっては貴重な情報だったようで、とても喜んでくれた。ついでに、目の前の坂は「いだてん」で綾瀬はるかが自転車で下るロケが行われたことを話すと、たまたま彼女は「いだてん」の大ファンのようで、一番喜んでいた。


菊鹿町上内田の棚田。番所の棚田から下ったところで、手が行き届いている感じがした。



番所の棚田の農道。「いだてん」で綾瀬はるかが自転車節を歌いながら自転車で下った坂。

秋フェスシーズンで大忙し! ~舞踊団花童~

2019-09-26 23:43:25 | 音楽芸能
 「熊本市PR特命大使」を任命されている舞踊団花童は、秋フェスシーズン真っ盛りとあって大忙しのようです。今月末から来月にかけて現時点でハッキリしている予定は次のとおりです。どこかの会場で見ていただければ幸いです。

 9月29日 にぎわい祭り(戸井の外公園・水前寺1丁目)12時過ぎ
10月 4日 JA上益城祭り(グランメッセ)13時頃
10月 4日 茶の舞(城彩苑わくわく座)16:45~
10月 5日 茶の舞(城彩苑わくわく座)16:45~
10月 5日 お城まつりステージイベント(二の丸広場)18:45~
10月 6日 ラグビーW杯熊本大会オープニングアクト(県民総合運動公園)14:35~
10月12日 銀杏まつり(熊本市中心市街地)12時
10月12日 熊本城島唄コンサート(二の丸広場)17:30~
10月18日 玄宅寺舞踊会 19:00~
10月19日 天草四郎ミュージアム(11時~、14時~)
10月26日 熊本おどり(城彩苑わくわく座)13:30~



大将陣の秋

2019-09-25 23:41:12 | 熊本
 ここは金峰山東麓の大将陣の棚田。大将陣の由来は、元弘3年(1333)3月、後醍醐天皇による鎌倉幕府打倒の綸旨に呼応した菊池武時率いる菊池一族が、博多に鎮西探題を襲ったが、武時は戦死(博多合戦)。撤退中の嫡男菊池武重が、河内浦から上陸した肥前勢を迎え討つため陣を敷いた場所といわれる(諸説あり)。
 夏目漱石の「草枕」で有名な峠の茶屋にほど近く、棚田の下に小天温泉へ向かう漱石が歩いた道がある。前方に二ノ岳、三ノ岳や野出峠が見える。


Youは何しに日本へ? ~山鹿灯籠踊り~

2019-09-24 09:26:08 | テレビ
 昨日、テレビ東京で放送された「Youは何しに日本へ? 2時間SP」で山鹿灯籠踊りが紹介された。この番組は熊本ではTKUテレビ熊本が放送しているが、数週間遅れなのでまだ見ていない。なぜわかったかというと、1週間ほど前にテレビ東京の番組担当者から連絡があり、僕が8年前にYouTubeにアップした山鹿灯籠踊りの映像を使わせてほしいという依頼があり、許諾したやりとりがあったからだ。
そして、昨日この放送を見た大阪の志場さんが録画してわざわざ送っていただいた。熊本での放送予定は未定のようなのでありがたい。内容は、オーストラリアのクーマからやって来た山鹿市との交換留学生たちが、インタビュアーに「楽しみにしていることありますか?」と聞かれ、即座に「ランタンフェスティバル」と答える。どうやらこれまで留学した先輩たちから祭の素晴らしさを聞いていたようだ。



   ▼2011年の山鹿灯籠踊りの映像

日本人にとって伝統芸能とは?

2019-09-22 22:38:21 | 音楽芸能
 城彩苑わくわく座での舞踊団花童公演を見ながら、ふと前夜のラグビーワールドカップ開会式におけるアトラクションのことを思い出した。歌舞伎の市川右団次、右近親子による連獅子を始め、いくつかの日本の伝統芸能が披露された。おそらく来年の東京オリンピックでも日本の伝統芸能が披露されるだろう。しかし、日本人の何割ぐらいが日本の伝統芸能にふだんから関心や興味を持っているだろうか。
 この日の城彩苑にはご婦人の団体が来場していた。幕が開くと、最初の演目は花童ゆりあが一人で踊る「夕月船頭」。いきなりの本格的な歌舞伎舞踊である。女児の可愛らしい舞踊でも予想していたのか、ご婦人たちの表情には明らかにとまどいが見られた。「つかみ」は古典などをやるのがいつものことなのだが。ご婦人たちの反応に可笑しさも感じながら、これも伝統芸能と日本人一般の意識の距離感なのかなと思った。

▼常磐津「夕月船頭」

〽篠を束ねて突くような雨に、濡れて通うが憎かろか  あたる あたる あたる あたる あたりやす

▼「水辺立秋」

〽花嫁御寮が行くぞいね 遠い山鹿へ行くぞいね

「茶の舞」いよいよ本番!

2019-09-21 21:22:49 | イベント
 ラグビー・ワールドカップが始まり、熊本での試合も2週間後に迫って来ました。舞踊団花童では世界各国からのお客様をおもてなししようと、日本の伝統文化である「茶道」と「日本舞踊」を新しい感覚で融合させた「茶の舞」を行ないます。
 今年6月、桜の馬場・城彩苑わくわく座において、そのプレイベントを行ないましたが、いよいよ本番の時がやって来ました。



▼6月のプレイベントの様子

ラグビーワールドカップ開会式を観ながら…

2019-09-20 21:09:37 | スポーツ一般
 日本の伝統芸能なども織り込んだ趣向を凝らした開会式のアトラクションを観ながら、YouTubeに随分前に投稿した「幸若舞 敦盛」に先日、こんなコメントが書き込まれたことをふと思い出した。

 「オールブラックスのHAKAに対抗しこの敦盛を演じてほしい。」

 ジョースター・ジョナサンというニックネームの方からのコメントだった。HAKAというのは、ラグビーニュージーランド代表(オールブラックス)が国際試合前に舞う民族舞踊のことだが、それに対抗する日本代表のパフォーマンスとして、幸若舞の「敦盛」をやったらどうかという面白い発想だ。「敦盛」は織田信長が桶狭間の戦い前、この「敦盛」を謡い舞ってから出陣したという言い伝えもあり、両手を拡げ、前傾姿勢で反閇を繰り返す動作も、戦いの前のパフォーマンスとしてふさわしいともいえる。一度何かの機会に「人間五十年、げてんのうちを比ぶれば、夢幻の如くなり…」とやってみたら面白いかもしれない。

▼幸若舞「敦盛」
※画像クリックで動画再生します。

ヤクルトスワローズ 村上宗隆選手

2019-09-19 17:17:31 | スポーツ一般
 熊本市出身の19歳、村上宗隆選手です。スピード感あふれるこのスイング。プロ野球ヤクルトの若きホープの躍動が今、多くのファンの心をつかんでいます。村上宗隆選手は十代にもかかわらず、シーズン終盤にさしかかった今、打点王などのタイトル争いにからむ活躍を続けています。この打撃力はどうやって培われたのか、かつての指導者に取材したところその秘密が見えてきました。


 あどけない表情を見せる中学時代の村上選手。チームではキャプテンを務めていました。


 中学時代の村上選手を指導していた吉本幸夫監督によれば、当時練習をしていたグラウンドでちょっと困ったことがあったそうです。それは村上選手の打撃がパワフル過ぎて、打球が右翼フェンスを超え、民家の屋根瓦やスレートを割っていたからです。


 居住者の濱田さんはチームの練習日には畑作業もやめて退避していたそうです。吉本監督は、これ以上近所に迷惑はかけられないと、村上選手にある指示をしました。それは左中間方向を狙って思い切って打てということでした。それから村上選手は次々とレフト方向に飛ばす鋭い当たり。左へのホームランを打てる村上選手のテクニックはこの時培われていたのです。


 九州学院高時代の恩師、坂井宏安監督によれば、当時のびのび野球を楽しめた環境が村上選手のものおじしないスタイルを形づくったと考えているそうです。九州学院チームの特徴は先輩後輩の上下関係がなく、何でもお互いに言える環境だったそうです。そういう環境で育った村上選手は、大先輩の名手青木選手に「バントで前に出るからベースカバーお願いします」と平気で言ったそうで、坂井監督は思わず「お前が言うな!」とツッコんだそうです。

「9.18 ニュース845くまもと」より

熊坂に見る能の身体性

2019-09-17 13:33:07 | 音楽芸能
 昨日の段山御旅所での能番組の最後は、喜多流の半能「熊坂」だった。シテを務めた狩野祐一さんは弱冠23歳。彼を初めて見たのは4年前の同じ段山御旅所能舞台で演じた「敦盛」だった。あれから4年経ったが能役者としてはまだ若手も若手。薙刀を振り回しながらのダイナミックな「飛び返り」を見ながら、「あゝ若さっていいな…」と思った。能ではよく、身体性と精神性という言葉を目にする。所作で体現することと、深い思いや感情を観る人に感じさせることのバランスがとれていなくてはならないという意味だと解釈している。この「熊坂」は盗賊熊坂長範が金売吉次の一行を襲い、一行に加わっていた牛若丸(義経)に逆に切り伏せられる場面を長範の霊が再現するところがクライマックスとなっている。長範の怒りや悔しさがダイナミックな動きによって表現されるわけだが、面をつけて視界が限られ、重い装束でしかも長い薙刀を振り回しながらの「飛び返り」を見ていると、これは若い肉体でないとあのキレは出ないのではないかと思ってしまう。やゝもすると深い精神性の方が尊く見られがちな能にあって、もっと身体性を重視した能を観たいというのが一能楽ファンとしての率直な想いである。


2019年 藤崎八旛宮例大祭 飾馬飾卸

2019-09-14 19:37:18 | イベント
 明後日の御神幸を前に、今日は飾馬を奉納する67団体が、それぞれ「飾馬飾卸(かざりうまかざりおろし)」を行なった。神前でお祓いを受けたあと参拝、奉納団体としての認定証を受領し、代表者の祝詞と発声で気勢をあげて出発して行った。
 下の動画は、毎年、鳥居基に次いで奉納順位2番目の水道町親和会。水道町はわが祖母の生家(一番被分町)があったところで、生前よく町の話をしていたので最もなじみ深い団体だ。