徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

おひきずりと江戸の大火

2011-10-31 19:57:50 | 音楽芸能
 先日の熊本城本丸御殿での「秋夜の宴」において、ザ・わらべは前半部分を「引き振袖」いわゆる「おひきずり」を着て踊った。彼女たちが「おひきずり」で踊るのを見ることはめったになく、僕は昨年春の坪井川園遊会とVTRで見た韓国公演くらいしかない。裾さばきが大変そうなので特別な時しか着ないようだし、演目も限られるのだろう。
 ところでこの「おひきずり」というと菱川師宣の「見返り美人図」を思い出すが、江戸時代中期から流行り出した着方だという。一時期はよほどの貧乏人でないかぎり、女性は家の中では「おひきずり」が普通だったといわれる。江戸時代は度々幕府から「倹約令」などが出されているが、一見、倹約令に抵触しそうな「おひきずり」が生き延びたのは、度重なる江戸の大火があったからだという。江戸の女性は火事に備えていつでも逃げ出せるよう、着物を掛布団がわりに使って寝ていたそうだ。掛布団ということになると足が出るのはまずい。というわけで身丈よりも長い「おひきずり」は大目に見られていたらしいのだ。
 着物ひとつとっても、よく調べてみると面白い歴史が秘められているものだ。


残念な「小西行長伝」

2011-10-30 21:57:12 | テレビ
 今日、テレビ熊本が放送したドラマ「海の司令官・小西行長~秀吉が日本を託した男~」は、熊本でもあまり知られていない、肥後南半国の大名だった小西行長像にどこまで迫ることができるか期待して観たのだが、正直残念な内容だった。熊本は加藤清正崇拝の強い県。そこにあえて小西行長を正当に評価しようという番組を作った勇気は多とするが、それにしては腰が引け過ぎだ。現代のドラマの中で小西行長を語らせることによってワンクッションを置いたり、加藤清正を否定するような内容はほとんど出てこない。小西行長像は加藤清正との対比、両者の徹底比較をしなければ浮かび上がってこないと思うのだが、そこはあえて避けている。太閤秀吉の信頼が厚かったとか、海運に強く海外戦略を持っていたと説明されても、具体的にどんな治政をし、領民はどう評価していたのか、その説明がなければ人物像は浮かび上がってこない。僕も小西行長は不当な評価を受けているのではと思っている一人なので、今回のドラマは残念としか言いようがない。「創作を加えてあります」とわざわざエンドロールに表記するくらいだったら、もっと思い切って創作してほしかった。歴史ドラマなんてどれも9割以上フィクションだ。


雨の秋夜 邦楽と舞踊の宴に酔う

2011-10-29 21:45:00 | 音楽芸能
 熊本城「秋夜の宴」は今夜が10月度の最終日。今夜は「中村花誠 花と誠の会」による邦楽と舞踊。ザ・わらべ&こわらべに加え、本條秀美社中も出演するとあっては見逃すわけにはいかない。降りしきる雨の中、本丸御殿に着いてみると、開演を待つ観客がいつもより少い。やっぱりこの雨ではしかたないかと思っていたが、始まる頃になるといつもと変わらぬ熱心な観客で大広間が埋まっていく。そして今日は珍しいお客様があった。いつもこのブログを見てくださる大阪のSさんが、この1時間余の公演を見るだけのために、わざわざ大阪からバスで来ていただいた。Sさんは初めて生で見るザ・わらべの踊りに大感動。公演後、ザ・わらべの3人と一緒に写真に収まり、大満足で大阪へとんぼ返りされた。ありがとうございました。お疲れ様でした。








朝ドラ「カーネーション」が毎朝楽しみ!

2011-10-28 21:14:53 | テレビ
 朝ドラ「カーネーション」はこれまでのところ僕の期待どおりだ。出演者もみんな上手いし音楽も良いのだが、やっぱり渡辺あやの脚本が秀逸。特に登場人物のキャラクター設定やセリフが面白い。また、クスッと笑わせるちっちゃなオチがあちこちに散りばめられていて次の展開が楽しみだ。最初に彼女の脚本にハマったのは映画「ジョゼと虎と魚たち」だが、「カーネーション」を見ていたら、僕にとって渡辺あや脚本の原点とも言える「ジョゼと虎と魚たち」をもう一度観たくなった。大評判をとったドラマ「火の魚」も素晴らしかったが、この「カーネーション」が成功したら、いよいよ次は大河ドラマかな。それから「カーネーション」で朝ドラとしては初めてというプログレッシブ・カメラを使ったことが大正から昭和初期の時代の空気感を出すのに成功しているようだ。

村下孝蔵 ~ 初恋 ~

2011-10-27 18:37:49 | 音楽芸能
 今朝の熊日新聞「県南面」に、1999年に亡くなったシンガーソングライターの村下孝蔵さんの追悼コンサートの話題が載っていた。彼の出身地・水俣の同級生らが13回忌を機に開くらしいが、今でも彼の人気は全国的に根強いと聞く。
 彼が世に出た80年代の始めから熊本出身であることは知っていたが、実はもっと近いところにいたことを知ったのは彼が亡くなってからだ。彼は鎮西高校の水泳部出身。僕とは6つの学年差があるので時代はちょっとずれているが、僕は鎮西高校水泳部OBの知人が何人もいるし、大学を出て熊本に帰った頃は、県内の水泳競技会を見に行っていたので、ちょうどその頃、鎮西高校水泳部にいたはずの彼を見ていた可能性がある。
 それはさておき、彼の歌の中で最大のヒット曲であり、代表曲と言えるのがこの「初恋」だ。今聴いても新鮮な感動がある。まさに永遠の青春ポップスといえるだろう。


にっぽん紀行 ~ 金沢 芸妓ふたり ~

2011-10-26 22:40:19 | 音楽芸能
 今夜のNHK総合「にっぽん紀行」は江戸時代から続く茶屋街の文化が残る古都金沢で活躍する二人の芸妓を紹介していた。峯子さん(84歳)と乃莉さん(77歳)は向かい合う茶屋のおかみ同士でライバル。しかし、二人が笛と小鼓でかけあう「一調一管」の舞台に上がると正に至芸、見る者を圧倒する。老いや病と闘いながら晴れ舞台「金沢おどり」に挑む姿を描いていた。二人の今年の演目は「雪の安宅」。乃莉さんが心臓発作で苦しんだり、昔のように息が続かなくなった峯子さんが必死に笛を吹くさまを見ていると胸に迫るものがある。ここにも奥深い日本の伝統芸能が生きていた。そして二人のサポートをする三味線を演奏していたのが熊本と東京を拠点に活動しておられる今藤珠美さん。ふだん見慣れたその姿を見た時とても嬉しくなった。


「秋のくまもとお城まつり」でザ・わらべの後ろで三味線を演奏される今藤珠美さん

驚異の小学生ジャズバンド! ~ リトル・チェリーズ ~

2011-10-25 23:32:58 | 音楽芸能
 テレビのドキュメンタリーで取り上げられたり、いろんな番組に出演したりで全国的にも知られるようになった鹿児島の小学生ジャズ・バンド「リトル・チェリーズ」。今年で結成27年、卒業生は500名を超え、その多くが音楽界で活躍しているという。何度聴いてもそのノリのよいスウィングは小学生が演奏しているとは思えない。この映像は今年3月、東日本大震災復興支援のためのチャリティコンサートを、鹿児島中央駅前で開いた時の模様である。


香川京子さんと「近松物語」

2011-10-24 21:36:45 | 映画
 香川京子さんがFIAF賞受賞!と聞いても、この賞が何だかよくわからなかったのだが、なんでもFIAF(国際フィルム・アーカイブ連盟)という国際的な映画保存機関が、その活動に貢献した人を表彰しているらしい。香川京子さんは自らが出演した映画の撮影スナップを多数寄贈したことが評価されたのだという。その評価のポイントは彼女が出演した映画というのが、溝口健二、成瀬巳喜男、黒澤明、小津安二郎といった世界に名だたる巨匠たちの映画だったかららしい。そのこと自体はあらためて驚くようなニュースではなかったが、僕が興味深かったのは受賞した香川さんがインタビューで「あなたにとって一番の映画は?」と聞かれて、「近松物語」と答えたという話だ。「近松物語」は溝口健二監督の1954年の作品で、近松門左衛門の「大経師昔暦(おさん茂兵衛)」を原作に川口松太郎が戯曲化した不義密通ものだ。この映画に出演した時、香川さんはまだ22歳だが、やがて80歳を迎える今なお、女優として矍鑠たる香川さんのアイデンティティは実にこの作品によって確立されたのであろう。


「近松物語」の香川京子さん(右)と南田洋子さん

大河ドラマ「江 姫たちの戦国」もいよいよクライマックス!

2011-10-23 22:15:11 | 熊本
 久しぶりに大河ドラマ「江 姫たちの戦国」を見た。早いもので今夜が第41話。残すところあと5回になり、いよいよ山場にさしかかった。今回は、有名な「國家安康 君臣豊楽」という方広寺の鐘の銘文の問題で徳川家康が豊臣家殲滅を決意し、江と淀君の姉妹が敵味方に分かれることになる、「大坂冬の陣」前夜の話だった。
 どうしても熊本人的な見方になるが、加藤清正はこの「大坂冬の陣」の3年前に亡くなっている。もし、生きていればどういう立場をとっただろうか、ということだ。関ヶ原では徳川家康の東方についたが、豊臣家が滅ぼされるということになったら清正は黙ってはいられなかったろう。3年前に復元された熊本城本丸御殿の中の「昭君の間」(一説には「将軍の間」とも)は豊臣家の有事に際し、秀吉の子秀頼を密かに匿うために造られた部屋と言い伝えられている。おそらく秀頼公を守るため何らかの行動を起こしたに違いない。もしそうなったとしたら、肥後熊本藩の歴史も大きく変わっていたかもしれない。それからこのドラマでは豊臣秀頼を太賀が演じているが、伝えられている秀頼公のイメージとはかなり異なるのが気になる。秀頼公は太閤秀吉とは似ても似つかぬ、180cmを超える美丈夫で、清正が付き添った京都二条城での徳川家康との会見の場でも、立ち会った武将たちを圧倒するオーラを発していたと言われる。その話の真偽はともかく、徳川家康も脅威を感じて豊臣家を滅ぼす決心を固めたのかもしれない。
方広寺について(「神戸の空の下で。~近畿の史跡めぐり~」より)


熊本城本丸御殿「昭君の間」

野林祐実 またも2位!~ 2011年日本ユース選手権 ~

2011-10-22 17:04:08 | スポーツ一般
 昨日から名古屋市瑞穂公園陸上競技場で始まった「2011年日本ジュニア・ユース選手権」は、今日、女子の100mが行われ、九州学院の野林祐実は、またも土井杏南に次ぐ2位だった。先々週の山口国体、先週大分での全九州新人陸上、そして今週名古屋での日本ユースと連戦続きで、成績よりも体調の方が気になる。

※写真は山口国体の少年女子B100m表彰における土井(左)と野林


小山薫堂プロデュース!くまもとサプライズフィルム「くまもとで、まってる。」上映中!

2011-10-21 18:57:54 | 熊本
 小山薫堂さんがプロデュースした熊本のプロモーションフィルム「くまもとサプライズフィルム ~くまもとで、まってる。~」が完成し、県内各地で上映が行われている。このフィルムは10月1日の「秋のくまもとお城まつり」初日、夕方からメイン会場の竹の丸で行われた「くまもとサプライズナイト」の中で観客も参加して最終撮影が行われ、その場で編集、初の試写も行われた。約17分のフィルムには宣伝らしいものは一切なく、ただ熊本の“ひと”や“自然”を見つめる温かいまなざしが不思議な感動を呼ぶ。このフィルムの上映に関する情報は「くまモンオフィシャルホームページ」で告知されている。
■くまモンオフィシャルホームページ
 http://kumamon-official.jp/


ウォークラリーで女子中学生が事故死!

2011-10-20 19:41:28 | 時事
 群馬県みなかみ町で行われていた学校のウォークラリーに参加していた千葉の女子中学生が滑落死したというニュースは何とも痛ましい。それとともにこの行事を企画運営した先生たちが受けた衝撃と後悔はいかばかりかと察するに余りある。というのも僕も会社勤務時代、社員研修の一環としてウォークラリーを企画運営した経験があるからだ。何日もかけて歩き回ってコースを設定し、それに基づくコマ図を作成し、実施に当たっては係員の手配と配置をし、参加者の安全に心を配りながら巡回したりと大変な苦労がある。おそらくこの中学校の先生も同じような苦労をされたに違いない。しかし事故は起こってしまった。今回の事故の原因はまだ明らかになっていない。僕の経験から言うと、人と言うのは予測のつかない行動をすることがある。特にウォークラリーのような競技性の強い行事では、遅れた時間を挽回しようと普通では考えられないようなショートカットをしたりするものだ。女子中学生に何があったのかはわからない。ただ言えることは、結果的にこの様な悲しい事故が起きてしまった以上、コースの中にそんな危険性が潜んでいることを予測できなかった学校側の責任は免れ得ないのである。

祝い歌 ~ 肥後のタンタン節 ~

2011-10-19 20:09:26 | 音楽芸能
 今日も熊本のローカル各局では熊本市の「政令指定都市」決定を伝え、その意義を解説するニュースなどが続いた。しかし、どれも説明の具体性に欠け、結局よくわからない。ただ一つハッキリしたことは、熊本市が発展するチャンスが与えられたわけで、市民がそのメリットを享受できるかどうかは、これからの市行政の努力次第ということだ。われわれ市民も「政令指定都市」が成功を収めるよう、それぞれがそれぞれの立場で協力すべきところは協力して行かねばならないだろう。
 まぁ、一応熊本市民としておめでたい出来事ということで、そんな日にふさわしい「肥後のタンタン節」なんぞをアップしてみた。




若者が夢を持てる都市に! ~ 熊本市「政令指定都市」決定に思う ~

2011-10-18 19:06:57 | 熊本

 熊本市が来年4月1日を以って「政令指定都市」になることが今日の閣議で正式に決まったそうだ。正直まだそのメリットをよく理解していないので実感がないがおめでたいことなのだろう。今日の夕刊には、全国で何番目だとか、九州で何番目だとかという文字が踊っているが、そんなことは市民にとって何の意味もない。県から多くの権限を委譲されて、今までよりも小回りが効き、きめ細かいサービスが期待できるというが、はたしてどうだろうか。とにかく若者が夢を持てるような都市づくりを進めてもらいたいものだ。市長は県知事に匹敵する権限を持つことになるが、間違っても市長と県知事が対立する大阪のようにはなってほしくない。

神楽と歌舞伎 ~ 伝統芸能の町 ~

2011-10-17 22:06:42 | 音楽芸能
 今夜のNHK「鶴瓶の家族に乾杯」はゲストに歌舞伎俳優の中村勘太郎(もうすぐ勘九郎を襲名するらしい)を迎えて広島県安芸高田市を旅する前篇だった。中村勘太郎が安芸高田市に古くから伝わるという郷土芸能「神楽」を見たいというのがこの町を選んだ理由だった。中でも美土里町神楽門前湯治村という地域には「神楽」とともに「歌舞伎」も行われているという。詳しくは来週の後編を見なければわからないが、おそらく神に奉納する歌舞である「神楽」を、大衆も「歌舞伎」として楽しむようになったのだろう。今年7月に亡くなった原田芳雄さんの遺作となった「大鹿村騒動記」の舞台、長野県下伊那郡大鹿村に伝わる「大鹿歌舞伎」は今や全国的に有名になったが、日本にはところどころにこうした伝統芸能が連綿と守り続けられている町や村がある。昔はおそらく日本全国どこでも見られたのではないかと思うが、残ったところと廃れたところ、その違いはどこにあるのかとても興味深い。僕が最初に興味を抱いたのは「大鹿村騒動記」の元ネタとも言える、3年前にNHKで放送されたドラマ「おシャシャのシャン!」を見てからである。