雪白とばら紅/子どもに語るグリムの昔話2/佐々梨代子・野村ひろし/こぐま社/1991年初版
一つ目、二つ目、三つ目/子どもに語るグリムの昔話5/佐々梨代子・野村ひろし/こぐま社/1992年初版
「雪白とばら紅」は二人の姉妹につけられた名前。昔話にはめずらしく仲のよい姉妹の一つ。
雪白とばら紅という名前が二人のイメージをあらわしている。途中にこびとが道化の役で登場し、最後は、姉が王子と、妹は王子の弟と結婚するお話。
二人が森の中をかけまわり、赤い野いちごをあつめたり、子うさぎや鹿とのふれあい、鳥たちが歌をうたってくれたりと、牧歌的な情景も。
白と赤のバラが効果的につかわれているのも印象にのこる。
「一つ目、二つ目、三つ目」は、長女は目が一つ。次女は目が二つ。三女は目が三つという意外性にとんだ三人姉妹。
次女は目が二つで、つまらないやつらとおんなじではないかと上と下にいじめられる。
毎日食べ物をならべてくれたやぎを、母に殺されてしまうが、殺されたやぎのはらわたを家の戸口の前の地面に植えると、そこから葉が銀で、金の実がなる木が生えてくる。ここにもすてきな騎士があらわれ、二つ目は、この騎士とめでたく結婚する。
「こやぎ、めえーとないて、おぜんのしたく」というフレーズが何回か効果的につかわれている。
ところで、下記の、こぐま社の二冊のなかから、結婚という話を抜き出すと半分ちかくをしめる。
「あわれな粉やの若者とねこ」「かえるの王さま」「白雪ひめ」
「三まい鳥の羽」「森のなかの三人のこびと」「かしこい百姓娘」「千枚皮」「鉄のハンス」
女性は、結婚イコール幸せと読めるのには、少し(だいぶか?)抵抗があるところ。しかしグリムにかぎらず、昔話の多くの結末は幸せな結婚でおわる。
夢がもてるのが子どもの特権ですが、夢が破れることもありうるというのがあってもよさそう。