宝の三つのくだもの/大草原に語りつがれるモンゴルのむかし話/Ch.チメグバール監修 籾山素子 訳・再話 藤原道子 絵/PHP研究所/2009年初版
ある日、貧しい若者が盗賊からおそわれていた一人のおじいさんを助けると、そのおじいさんはお返しするから、明日の朝、高い山の頂上にきてくれと話して姿を消します。
翌日、若者が山の頂上に着くと、おじいさんは木の下の枝になっている白、黄、赤の果物を指さし、すきなものを選ぶようにいう。
白い実は、世界で一番かしこい者になり、
黄色の実は世界中を一人で支配するお金持ちになり、
赤い実を選んだら美しい娘たちがみなきみを好きになってあとをついてくるだろう
若者がどれをえらんだのかは?
モンゴルのむかし話というタイトルで他の本も出版されていますが、この昔話はモンゴルの方がまとめられたものが訳されています。これまで読んだものと内容が重複するものがなくモンゴルにも数多くの昔話があることがよくわかります。訳もわかりやすい。
「宝の三つのくだもの」で若者が選んだのは、赤。
選んだ理由が味わい深い。
「わたしはただの狩人だ。そんなに賢くなる必要はない」
「この世のすべてが、わたしの財産になるというのは、人々をおさえつけて苦しめる金持ちになることだ」
さらに「美しさや財産ではなく、妻となる人の心がきれいかどうかを大切にしなさい」というおじいさんの言葉も金言です。