どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

さるかにかっせん

2013年10月27日 | 昔話(日本)

 さるかにかっせんとして知られている昔話を覚えてみたいと思い、さてどのテキストを使おうかと探していたら、よく知られているものなので、多くのものがあってどれをつかうか頭を悩ますところ。各地域によっても少しずつ異なっているというこの話、絵本なども含めたら相当なものになりそうだ。

 あまり多くはないが、ここでは次の本を参考にしてちがいをさがしてみたい。


 さるかにかっせん/日本の昔話4 さるかにかっせん/小澤俊夫 再話 赤羽末吉 画/福音館書店/1995年初版
 さるとかに/子どもに語る日本の昔話2/稲田和子・筒井悦子/こぐま社/1995年初版
 猿と蟹/語りつぎたい日本の昔話7 舌切りすずめ/小澤俊夫・監修 再話・小澤昔ばなし大学再話研究会/小峰書店/2011年初版
 蟹の仇討/日本昔話百選改訂版/稲田浩二・稲田和子・編著 丸木位里・丸木俊・絵/三省堂/2003年改訂第一冊
 さるとかにむかし/新訂 子どもに聞かせる日本の民話/大川悦生・文/実業之日本社/1998年初版

 ここであげたのは、これまで昔話を読みはじめて何回か目をとおしたもの。

 「さるかにかっせん」というタイトルがついているのかと思ったらそうでもない。三省堂版では「蟹の仇討」とされており、実業之日本社版では、広島の昔話をベースにして再話されており、「さるかにむかし」というタイトル。メジャーなものでも編者や再話者のこだわりがありそうである。

 前段部分に出てくる蟹の母親が、猿の投げた柿で殺されてしまう場面では、唯一福音館書店版では殺されずに怪我をする。

 話の後段部分に蟹の仇討があり、そのとき蟹におともする蜂や臼などに違いがあるのはともかくとして、五つもでてくるとくどく感じる。
 この場面で擬音語がうまく取り入れられているのと、そうでもないのがあるが、語りのリズムからすると擬音語がほしいところ。

 また、蟹がおともをさがすのにきびだんごが役立っているが、三省堂版ではきびだんごはでてこず、熊ん蜂が仲間を集める。小峰書店版では、猿のところにむかう蟹がどこに行くか聞かれてその答えを聞いた蜂や臼などが、対価をもとめることなく一緒にでかける。
きびだんごにひかれていく?か、それがなくてもおともするかは考え方によっては難しいところ。

 山梨県の昔話をとった三省堂版では、猿のおばあさんがでてくるのが異色である。