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星どろぼう/文・アンドレア・デイノト 絵・アーノルド・ローベル 訳 八木田 よしこ/ほるぷ出版/1978年初版/2011新版
文字通り星をぬすむどろぼうのお話ですが、とても夢があってロマンチックです。
子どもも大きくなっているので読んであげる機会がないのが残念ですが、もし自分が小さいころ読んでもらったらどんな感じだったろうかと思わせます。
自分だけの星を一つほしいとおもっていた泥棒。でも心の奥のそのまた奥では、星という星を全部自分のものにしたいと思っていたことから、すべての星を盗んで自分のものにしてしまいます。
村では大騒ぎ。今度は月を盗もうとするに違いないと、月にわなをかけ、見事、泥棒をつかまえます。しかし、地下室に星を見つけたものの、星を空におしつけても、のりをつけても、タール、ねりこをつかっても、星は地面に落ちてしまい、空にかえすことができません。
しかし小さい男の子が、願い事をすると、空にもどっていきます。
なぜって?
願い事は“空の星”にするものだからです。
村人たちが次々と願い事をすると星は全部、空にかえっていきます。
泥棒だけは願い事をすることができませんでしたが、おじさんの願い事は星にさわることだったといいます。
この星どろぼう、実は、子どもたちをふくめ村じゅうの人たちに星にさわらせたかったのです。
山のてっぺんにある村。支えあうように建っている家のベランダから、星がとっても近くにみえる絵が印象的です。
星を盗むときには、はしごをのぼっていきます。
盗んだものは自分で返しなさいと、泥棒に星をかえさせる村の人たちの気持ちがうれしい。