大人と子どものための世界のむかし話5 ポリネシア・メラネシアのむかし話/ダイクストラ好子・編訳/偕成社/1989年初版
一人の少年が、海の底にある大エビをつかまえたいと思っていましたが、人食いザメのため、手をだしかねていました。
一計を案じ、大声で「ほかのサメたちをだます方法を、いちばんしっぽの短いサメがおしえてくれた」といい、岩のかけらを海に投げ込むと、サメたちは少年が海の中へ飛び込んだとおもい、水音のしたほうへおよいでいきます。そのすきに、少年は海に飛び込んで大エビを二匹もちかえります。
一回だけでなく、9回も繰り返す少年。サメは十頭いる計算です。
エビをとる前に、○○のサメから教えてもらったと大声でいうので、怒った一番大きなサメが、仲間を食べてしまったので、サメはどんどん減っていきます。
残ったのは大ザメだけ。
こわいサメと少年の組み合わせ。
少年の知恵がまさっていました。
最後は大ザメにまるごと飲み込まれるよう独り言をいい、大ザメが少年を飲み込むと、少年は両端のとがった棒をサメの口に突き立てたので、サメは口を閉じることができなくなります。
そして、大ザメのはらのなかで、サメの肉を切り取り、料理までしてしまいます。
少年が大ザメのはらのなかからでてきてみると、せまいサメのはらの中で頭をさんざんこすられたので、かみの毛が全部ぬけてしまい、にどと髪ははえてこなかったというオチです。
だまされるサメがいないと話ははじまりません。このサメ、釣り糸を食いきったり、せっかくつれた魚をよこどりしたり、海にもぐった人を食い殺す存在でした。