加代の四季/杉みき子・作 村山陽・絵/岩崎書店/1995年
ある日、お昼過ぎから降り出した雨が,夕方になって止み、ルミがおやつを食べていたら、電話がルルンと鳴ります。
「もし、もし。こちら,コスモス通信局。昨日のお礼です。東の空を見てください。」
電話は,それっきりで切れます。わけがわからないけど、とにかく外へ出てみたら大きな虹です。
それから三日目の夕方。また、電話が鳴ります。
「もし、もし。こちら,コスモス通信局。今日は,西の空を見てください。」
空をみるとそこは素敵な夕焼けでした。
前の日、ルミは今にも首を曲げているコスモスをみつけ、近くでスケッチをしていた絵描きさんと竹の棒に、お菓子屋さんからもらった風船の紐でコスモスを結んであげたのです。
コスモスさんからのお礼の電話だったのです。
それからひと月。コスモスの花が枯れて寂しくなったころ、ほんとに久しぶりで,電話が鳴ります。
「こちら,コスモス通信局。明日,デパートの五階へ,絵の展覧会を見に来てください。」
翌日、ルミがお母さんと一緒に,デパートの五階にヘ行ってみると、展覧会の大きな立て札が出ています。
中に入って、正面に掛かっている大きな絵の中には,ルミがいました。
いつかルミと苦しそうなコスモスを竹の棒に結んであげた絵描きさんの展覧会でした。
小学校2年生の国語教科書に載っているというのですが・・・。
コスモスをかわいそうに思ったルミと絵描きさんの素敵な交流です。
やさしさが思わぬ返礼となってかえってくるというほのぼのとする物語です。