日本の民話1 動物の世界/瀬川拓男・松谷みよ子・編著/角川書店/1973年初版
きつねの恩返しの昔話。
柴刈りで生計をたてていたお爺さんが、悪たれわらしにいじめられていたきつねを助けます。
するときつねは、味噌煮釜に化けて、お寺の和尚に売ってくれといいます。
釜に化けたきつねは、砂でごしごしみがかれたり、味噌煮をつくるため、かまどにかけられ、火をぼんぼん燃やされたりとさんざんな目にあって、寺から逃げ出します。
ここまでは「分福茶釜」そのものです。
しかし、話はまだ続きます。
もういいよというお爺さんでしたが、きつねは今度は娘になり、女郎屋に高く売るようにいいます。
高いお金を得たお爺さんでしたが、三度目は馬になって長者に高く売るようにいいます。
ところが、この長者は、人使いもあらければ、馬使いも荒く、きつねは思い荷と長者をのせていったため、歩けなくなります。怒った長者から折檻されて、きつねはその場に倒れて死んでしまいます。
近郷きっての福徳長者になったお爺さんお婆さんは、きつねのために立派なお堂をたてて、きつねの後生を祈ります。
最後がすこしひっかります。そして女郎屋がでてくるので、語るのは二の足を踏みます。