おしっこぼうや/ウラジーミル・ラドゥンスキー:作・絵 木坂 涼・訳/セーラー出版/2003年
副題が「せんそうにおしっこをひっかけたぼうやのはなし」で、ベルギー・ブリュッセルの小便小僧がもとになっています。
平和で美しい町に戦争がおこり、道で遊ぶ子どもはいなくなり、花市場がなくなり、どこからも笑い声は聞こえてきません。
小さなぼうやは一人ぼっち。ぼうやがなんどもなんどもよんでも、おとうさんもおかあさんも返事はしてくれません。
さがしてもさがしても戦う人ばかり。ぼうやをまもるお父さんとお母さんが必要ですが、でもでも、いま必要なのは ・・おしっこ! おしっこ! おしっこが、我慢できないのです。
ぼうやが、塀の上から、ピューッとおしっこをすると・・・。
どなたかのお子さんが「私も戦争がおきたら高いところにのぼっておしっこひっかける!」といわれたのを紹介されていました。
平和って本当は簡単なこと。なのに、なかなかそうはなりません。子どもと平和を考える糸口にもなりそうです。
今も世界のあちこちで争いがたえません。もっとたくさんのおしっこぼうやが必要とされているのは、情けないと思わずに入られません。
ブリュッセルの小便小僧は、1619年にフラマン人彫刻家ジェローム・デュケノワにより製作され、大分古いものです。
ただ現在設置されている像はレプリカで、オリジナルは1960年代に盗難防止の為にブリュッセル市立博物館に所蔵されているといいます。(写真は2012年撮影)
小便小僧の由来の一つは、ブラバント公ゴドフロワ2世に関する説。1142年、当時2歳のゴドフロワ2世率いる軍は、グリムベルゲンでの戦いの際、戦場の兵士を鼓舞するため、ゆりかごに幼い支配者を入れて木に吊るした。 そこから公は敵軍に向かって小便をし、味方軍を勝利に導いたというもの。
もう一つは、反政府軍がブリュッセルを爆破しようとしかけた爆弾の導火線を小便をかけて消し、町を救った少年がいたという武勇伝説。この少年の名はジュリアンといい、小便小僧の愛称「ジュリアン坊や」はここに由来するといわれています。
この小便小僧には、様々な機会に、衣装が贈られる慣習があるようです。
港区のJR浜松町駅構内のホームにもあるといいますが、近くにいながら見たことがありませんでした(笑)。