アラヤト山の女神 フィリピンの民話/ヴィルヒリオ S.アルマリオ・再話 アルベルト E.ガモス・絵 あおきひさこ・訳/ほるぷ出版/1982年
一見すると刺繍をおもわせる絵が特徴です。
ルソン島のアラヤト山をおさめていたのはマリア・シヌクアンという女神でした。
ある日、むく鳥のマルテイネスが泣きながら、こわれた巣とたまごをさしだします。
馬のカバーヨが突然走り出して、巣を踏みにじったと訴えます。
女神が聞いていくと、はじまりは蚊のラモックです。
ラモックが刀をふりまわし、ほたるのアリタップタップは、火で自分の身をまもろうとし、かめのバゴンは、家を運び出し、馬のカバーヨが走り出したのです。
蚊のラモックがかにのアリマンゴに、大きなハサミで、おそいかかられ、しかえしのためかにをさがしていたのでした。
女神は、蚊のラモックに、「ささいなうらみのため、この国の平和をみだしてしまった。暴力は暴力をまねくだけです、わたしの国で暴力は許しません」と、牢屋に入れて罰します。
蚊のラモックは七日間、牢に入れられますが、蚊が入る牢は、どんなものかと思ったら、どうらや葉っぱのなかでした。
かめの甲羅が家だったほか、むく鳥が地面に巣をつくらなったなどの由来がでてきます。
むく鳥から、うったえられ、すぐに調査を開始し、暴力は断固、許しませんという女神は頼もしくやさしい女神です。
カタカナの名まえではなかなか動物のイメージがわきにくいのですが、繰り返しでなんとかついていけます。