あおいジャッカル/マーシャ・ブラウン・作 こみや ゆう・訳/瑞雲舎/2017年
世界最古の子ども向けの物語といわれるパンチャタントラの一話をマーシャブラウンが再話したもの。
マーシャブラウンといえば「三びきのやぎのがらがらどん」。版画が奥行きをあたえてくれています。
昔、だれよりも あらあらしい 遠吠えをするので、”あらぼえ”と呼ばれたジャッカル。
あらあらしいというので、強いかと思うと、あにはからんや、ある夜、腹をすかせたジャッカルは町へ食べるものを探しにいって、野良犬たちに追い回されて逃げまどう始末。
逃げ込んだ先は染物屋。”藍の大がめ”に飛び込み、青い毛並みとなったあらぼえの人生は、それから一変します。
青に染まったジャッカルを見て森の動物達は恐れ、ちぢみあがります。
あらぼえが「天の神が、森に王がおらぬのを みて、わたしを つかわしたのだ」というと、森の動物たちは、森の王様にしたのです。
ライオンは 王の狩場で獲物をとり、王さまのもとへ。ヒョウは、その獲物を肉にして運び、あらぼえは、気前よく、みんなに分け与えます。
贅沢な暮らしが続きますが、ある とろんとした しずかな ひるさがり、遠くの丘からジャッカルの とおぼえが 聞こえてきて、なつかしさのあまり、目に涙を浮かべて「オーン、オオーン!」とほえると・・・・。
正体がばれてしまったジャッカルは、追い払われてしまうのですが・・。
青がインドの人たちにとって、神の色というのが念頭にないとわかりにくいかもしれません。
付け焼刃はいつもでも通用しませんが、仲間の声に懐かしさをおぼえるのは、自然でしょうか。