しゅてんどうじ/木島始/リブロポート/1993年
「酒呑童子」の絵本は多いですね。
「しゅてんどうじ」には、作者のあとがきがあって、曼珠院所蔵「酒呑童子絵巻」がもとになっているといいます。
そのせいでしょうか美術館や博物館で見られる絵巻風で、物語の展開には、ピッタリです。
物語は、源頼光と五人のさむらいが、都の姫君をつぎつぎにさらっていった酒呑童子を退治するという、おなじみ(?)の物語です。
源頼光の一行が、山伏の姿で、鬼の住む伊吹山に上る途中、不思議な三人にでくわします。
このあたりはいかにも昔話風。
三人は、人間が飲むと 元気になり、鬼が飲むとくにゃ くにゃと のびてしまうお酒を竹の筒にわけてくれます。
酒を飲ませて、よっぱらったところを、好機とばかり鬼に襲い掛かる頼光たちですが、酒の力をかりなくては、鬼を退治できないとは、鬼もよほど強かったにちがいありません。
鬼が首や胴を切られる場面やさらわれた姫君が骸骨になったり、木に吊り下げられた場面がリアルで、子どもがどううけとめるか気になります。
この絵本にはでてきませんが、酒呑童子の出生や、その配下のこと、源頼光の一行に関することなどについて調べてみると面白いことばかりです。
「酒呑童子」は、能や映画、マンガ、ゲームにも取り上げられていますが、今のご時世ではやや影が薄いようです。