子どもに語るグリムの昔話4/佐々梨代子 野村ひろし・訳/こぐま社
タイトルがやや地味でしょうか。
貧しい木こりと三人の娘。娘が、父親に昼めしを届けにでかけます。
途中、父親は娘が道を迷わないように、キビ、レンズ豆、エンドウ豆を道にまいていきますが、どれも鳥たちに食べられ、娘は道にまよって、おじいさんがいる家に泊めてもらうことに。
三人の娘がでてくると、はじめの二人は災難にあい、三人目はクリアするのが普通。
二人だと一人目がうまくいっても、二人目がうまくいかないというのも、もう一つのパターンです。道に目印を置くのも、またパターン。
自己中心的な上の二人は、おじいさんや、おじいさんのところにいるメンドリ、オンドリ、ぶち牛のことは、少しも考えず、地下室に落とされてしまいます。
ところが末娘は、自分のことだけでなく、おじいさん、動物もきちんと目配りします。
このおじいさんは、魔女の魔法にかかって白髪の老人にかえられていましたが、最後は王子になって、末娘と結ばれるハッーピーエンドです。
昔話のパターンが盛り込まれ、楽しそうですが、あまり聞いたことがありません。
語ると30分はこえそうですが、娘がでかける3回のパターンは同じようですから、入りやすいとも思いました。
楽しいのはおじいさんが、動物に問いかける場面と動物たちのやりとり。
「かわいいメンドリ、
かわいいメンドリ、
それに、かわいいぶち牛や、
おまえたちの意見はどうじゃ?」
すると、動物たちは「ドゥークス!」とこたえます。どうやら「よろしゅうございます」という意味。
娘が動物に、ベッドの場所を聞くと
「おまえは、おじいさんと食べ、
おまえは、おじいさんとのみ、
わたしらのことは、考えもせぬ。
自分で探せ、今夜の寝床」
末娘には
「おまえは、わたしらといっしょに食べ、
おまえは、わたしらといっしょにのみ、
おまえは、みんなに親切にしてくれた。
それじゃ、ゆっくり、おやすみなさい」
このセリフがよくきいています。