どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

捨てられた犬と少女・・エスキモー

2018年08月15日 | 昔話(北アメリカ)

      エスキモーの民話/本多勝一・訳/すずさわ書店/1974年初版


 本多勝一さんの訳ですが、故郷の伊那方言が使われていて、戸惑うところもあります。

 会話の部分が「お前さまをよめにほしがっとるで」「そっちのほうだで」などとなっています。

 「捨てられた犬と少女」は、少女も犬も捨てられるところからはじまります。小さな部落が伝染病に襲われ、生き残った人は、土地を逃げ出し、この地に残ったのは少女と犬。

 少女と犬は避難用のイグルーで暮らすことに。(イグルーは、雪または土やコケや石で作られた家)

 ある晩犬が病気になり発熱に苦しみ、汗が毛を凍らせてしまいます。犬は悲しくうちひしがれた声で、「白熊がよめにほしいとやってくる」と少女にいいます。
 「熊がみえたに!」と少女がさけぶと、犬は少女に熊に出す食べ物を用意するようにいい、目くばせしたらすぐに外にでるように指示します。

 熊がやってきて「娘はもらっていく」というと、少女はイグルーを飛び出し、イグルーのなかからは決闘の音が聞こえます。

 おどろいたことに、病気で弱り切っていたはずの犬は、熊を殺していました。しばらくは熊の肉が食糧用に確保できます。

 また犬が病気になり、今度は二頭の白熊がやってきます。
 前と同じように、この二頭も大量の新鮮な食料になります。

 じつは、犬が病気になるのは、闘いの準備をするためでした。

 そして、今度は三頭の白熊がやってきますが・・・。


 犬と人間がでてきて、犬の恩返しの話かと思うと、エスキモーでは対等で共存する関係です。