お静かに、父が昼寝をしております/ユダヤの民話/母袋夏生・訳/岩波少年文庫/2015年
この世で一番聡明な知恵者ソロモン王のところに、たいそう美しく、とても賢く、だれにも解けそうもないない問題やなぞなぞをつくる才にたけていたシバの女王がやってきます。
女王はソロモン王に謎をいくつもだしますが、王はそのすべてを解きます。
するとシバの女王は、召使に花束をもってこさせ、一輪は本物であるが、他の花は職人がつくった造花であると説明し、花束のなかから本物の一輪を探す出すようにいいます。賢い人が、かならずしも感性が鋭いとはかぎらないというのがシバの女王の考えでした。
そのとき王を助けたのはミツバチ。ミチバチがもぐりこんだミツバチが本物の一輪を教えてくれたのです。
このミツバチ、以前に王の鼻をチクリと刺したので、王の鼻はぶっくりふくれ、ざくろのようにあかくなり、やけどもたいに痛み出しました。
怒った王は、すべての棘や針をもつものを宮殿にあつめ、名乗り出るように命令します。
ミツバチが鼻と花の区別がつけられず、自分がやったことだともうしでて、鼻にも匂いがあるといいます。
知恵者の王でしたが、鼻に匂いにあるというのは考えもしませんでした。
ミツバチは小さな生きものが役に立つということもあるといっていたのです。
「あのこわっぱが、王を助けるけるとはな!」と笑い飛ばした王さまが、たしかにミチバチに救われ、面目をほどこしたのでした。
シバの女王は「旧約聖書」にみえ、「ソロモンの知恵の噂を伝え聞くと、多くの随員を伴って、香料、大量の金、宝石などの贈り物をラクダで運び、難問を以って彼を試そうとエルサレムを訪問した。」とありました。
ソロモンもなじみがないのですが、なかなか興味深い人物です。