かっぱどっくり/文:萩坂 昇 絵:村上 豊/童心社/2000年
発行は2000年ですが、1982年に第一法規出版から刊行されたものを改訂復刊したとあります。
きゅうり畑を荒らして食べたくせに、「にがいのもある。こやしがたらん」と文句をいい、地蔵さんをひっくりかえし、やりたい放題のかっぱ。。
働き者で評判のごろべえさんが、川で馬の"あお"を洗っていたら、尻尾にかっぱがしがみついて川へ引きずり込もうとふんばっています。
ごろべえと村の衆が追いかけ、飼葉おけにかくれたかっぱをつかまえ、木にさかさづりに。
ところが、ごろべえさんは、ヒヨー ヒヨー ヒヨー と泣き続ける声に弱り果て、宝物をさしあげるというかっぱを許してやることに。
かっぱがお礼にともってきたのは、いくらついでもなくならないとっくり。
かっぱは、「とっくりの底を三つたたくと酒はでなくなる」とも教えてくれます。
いくらでもとっくりから酒が出てくるので、働き者のごろべえさんもすっかり変ってしまいます。あさっぱらから毎日酒浸り。田んぼには草ぼうぼう。おまけに馬のあおの世話もしないので、あおはすっかりやせっぽちに。
たくらみがうまくいったとよろこんだのはかっぱ。
そんなごろべえでしたが、井戸に水を飲みに出たついでに、馬小屋をのぞくと”あお”がいません。しょうがねえやつだとあちこちさがしているうちに、草むらで眠りこけてしまいます。
ひ、ひひーんといういななきで、ごろべえが目を覚ますと、田んぼには”あお”。
草ぼうぼうの田んぼしきりに首をふっている”あお”をみたごろべえは、とっくりの底を三つたたき、田んぼに飛び込みます。
獲り入れの秋、”あお”は、稲をいっぱい積んで帰っていきます。
”あお”のおかげで、酒をきっぱり断つごろべえですが、すこし唐突な感じがありました。しかし、酒浸りの日々を、こころのどこかに引っかかっていて、きっぱりと断ったのなら、拍手です。なかなかこうはいきません。
村上さんが描く、ごろべえさん、かっぱ、”あお”の絵は、なんともいい味です。
アブラ カダブラ カタクリコ/きたむら さとし/BL出版/2019年
ウサギのハティーのまほうの はじまり はじまり。
魔法の言葉は、アブラ カタブラ カタクリコ
なにがでてくるか興味深々。
すると ぼうしのなかから次々に出てきたのは ネコ、リス、タコ、トナカイ。
次はみんな目をじっとこらすと・・。
わあ!ゾウ。
まだまだ
でてきたのは?
なんともユーモラスな動物たちです。
「アブラカダブラ」は、世界中で広く用いられている手品ショー等での呪文。
れいによって、「ウィキペディア」のうけうりですが、6-7世紀の銀のお守り、アブラカダブラに類する文字が刻まれているといいます。さらに、オックスフォード英語辞典によると、アブラカダブラは2世紀のセレヌス・サンモニクス作品に最初の表記があるというので、古くからつかわれてきた呪文。