こめぶき・あわぶき/川村/たかし・文 梶山俊夫・画/教育画劇/2000年
こめぶきは、なくなった まえのかあさんの こ
あわぶきは、いまのかあさんの こ
いまのかあさんは、あわぶきばかり だいじにして こめぶきは しょんぼりと くらしていたそうな。
村まつりが近づいたころ、くりでもひろってこいと こめぶきには あなのあいた ふくろ、あわぶきには、あなをつくろった ふくろをもたせて やまへ おっぱらったと。
ほとんどの類似の話では、いくらたってもふくろがいっぱいにならないこめぶきをおいて あわぶきが 家へ帰るというのが定番ですが、道に迷って ふたりとも 山姥の家へ。
山姥の鬼のせがれに食べられそうになるが、ふたりは、山姥に助けられて一安心と思いきや、こんどは、山姥がおまえたちを食ってやるという。ここで食われると思ったら、山姥の背中にうじゃうじゃはりつているしらみを とってあげると、こめぶきには ちいさな はこ、あわぶきには なべを もらうことに。しらみをとってあげたのは、こめぶきでしたが、山姥は、なぜかあわぶきにも なべを くれた。
朝、山姥の家をでて、しばらくいくと 二匹のおにが、ふたりをおいかけてきた。ここからは、あわぶきが大活躍。なべをなげ、大きな山、大きな川をだして、やっとのことで逃げ出したふたりでした。
それから祭りの日、あわぶきは うつくしいきものをきせてもらってうきうきでかけたが、こめぶきは、ざるで、ふろに水を いっぱいにし、あわを十石つく仕事を いいつけられた。ぼうさまと、すずめにたすけられたこめぶきは、山姥のくれた はこの中から きものとおびをだし、まつりへいった。
ちょうじゃどんの使いがやってきて、こめぶきを ちょうじゃどんのせがれのよめに もらいたいという。一早く家にかえっていたこめぶきは、いつものすがた。こめぶきには、きものも、おび ひとつもない とかあさんがいうと、「そんなものなら いつだってかえるから」と、こめぶきを かごにのせて、つれていってしまった。
あわぶきが、かごにのって よめにいきたいというが、だれもむかえにこない。それで、かあさんが かごのかわりに うすに のっけて、ひっぱって、あるいてみたが、うすが たんぼにポチャンと おちて しずんでいったあわぶきは、うらつぶがいに なってしまった。
日本版シンデレラの話ですが、両者に活躍の場面があるあたりが、すくいでしょうか。
なにもかも こめぶきだけの活躍にしなかったのは、どんな子でも いいところがあると いいたかったのかも。