子どもに贈る昔ばなし19/小澤俊夫・監修/小澤昔ばなし研究所/2023年
この時期、定番の「笠地蔵」の話です。
大みそかに、笠を売りに出かけたおじいさんが、雪の中で寒そうにたっているお地蔵様に、笠をかぶせて上げると、正月の朝、お地蔵さまからたくさんのお返し?をいただく話。
歩くたびに地蔵さまがいて、12の笠をかぶせてあげると、売り物がなくなって、家にかえることにしましたが、ほかの話にはでてこない おばあさんが出てきます。はらがひっているというおばあさんに、あわめしのべんとうをわたしてあげると、小さい袋をもらいます。それは、たからぶくろといって、おばあさんは まだ使ったことがないという袋でした。
正月の朝、軒下には、つきたてのお餅。おじいさんとおばあさんが雨戸をあけてみると、笠をかぶった地蔵様が、雪の中を、静かにかえっていくところでした。「ありがたや」と、ひざまづいておがんだじいさんのふところから、みょうな袋が、落ちました。ふたりで袋を開けてみると、たまげたことに、ぴかぴか光る小判が、一枚はいっていました。これまで小判をみたことがないというおばあさんが、いっぺんしめた袋の口をあけてみると、こんどは小判が二枚になっていました。なにやら気味が悪いのですぐに口をしめますが、どうしても気になるので、またあけてみると小判は四枚になっていました。袋をもらったおばあさんをさがしますが、どうしても見つけることができず、じいさんとばあさんは、ありがたいことじゃといって喜び、大金持ちになって、それからも幸せにくらしたという。
笠地蔵にでてくるおばあさんは、手ぶらで帰ってきたおじいさんを、あたたかくむかえる、なんともできた人。ついつい非難する凡人とは大違いです。また類似の話では、地蔵様が一か所にたっているのがおおいのですが、この話では離れ離れにたっています。
倍々で増えていく小判は、袋にはいらないので、どうしたのやら!