どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ふたりの悪魔・・イギリス系カナダ

2024年05月25日 | 昔話(北アメリカ)

    大人と子どものための世界のむかし話20/カナダのむかし話/高村博正ほか編訳/偕成社/1991年

 

 リューマチになってあるくこともままならない坊さん(と訳されていますが、神父さんでしょうか、プロテスタントだったら牧師さんか)が、パットというアイルランド人をやとい、パットに背負われて教会へかよっていました。ある夜、教会のかえりみち、教会にお経(と訳されていますが聖書のことでしょう)を忘れたことに気がつき、忘れ物をとりにもどりました。

 さて、その日の昼間、教会の墓地には、亡くなった大金持ちの信者と、その信者の全財産がうめられていました。夜になって泥棒がふたり、この信者の金をねらって、いっしょうけんめい墓をほり、なかをみてびっくり。金のかわりにクルミがはいっていたのです。泥棒の前に信者の親せきが、金をそっくりぬすみだし、かわりにクルミをいれておいたのです。ふたりは、はらの虫がおさまらず、近くの家からヒツジを盗んで、墓場でやいてたべることにしました。ひとりがヒツジを盗みにいき、もうひとりは墓石の上で、クルミをわりながらまっていました。

 そこへお経の本を忘れた坊さんがパットに背負われてやってきました。まっていた泥棒が、仲間が帰ってきたと思い、「おーい、そいつはどうだ、ふとってるかい、やせているかい?」と、クルミをカチカチわりながら、大きな声でききました。びくりしたのは坊さんとパットです。くらい墓場から、悪魔がカチカチと歯音をさせて、大声でさけんだとおもったパットは、坊さんをほうりだし、とんでにげていきました。あとから坊さんも、おいていかれてはたいへんと、いのちからがらにげていきました。おかげで、坊さんのリューマチは、すっかりなおっていました。


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