マララとイクバル/ジャネット・ウインター・作 道傳愛子・訳/岩崎書店/2015年
パキスタンの小さな町で生まれたマララは、タリバンの兵士から「学校にいってはいけない」と警告をうけますが、教育を受ける権利があると、声をあげることをやめませんでした。そして、2012年10月9日、タリバンの兵士に撃たれてしまいます。
イクバルは、親の12ドルの借金のため、4歳から、絨毯工場で働くことになりました。逃げられないように足は、鎖でつながれながら。
夜、とぼとぼとかえりながら、壁にはった「債務労働」に反対する集会の知らせを見ました。債務労働が禁止され、借金もなくなったことを知ったイクバルは、学校にかよいはじめ、同じような目にあっている子どもたちのために声をあげました。パキスタン中の絨毯工場で、自由をよびかけたイクバルは、1995年4月16日、銃弾に倒れます。
絵本を見ていくと、真ん中付近で上下逆になります。銃弾に倒れたイクバルくんから、一命をとりとめ声をあげ続けるマララさんへ 凧が手渡されています。
マララさんが銃で撃たれたのは、世界中で報道されましたが、イクバルくんについては はじめて知りました。
ふたりとも、日本でいえば小学生の年齢。どんな思いで行動していたのか考えると胸が痛くなります。
いま、アフガニスタンで、また女子の教育が禁止されています。
またここでは、債務労働がでてきますが、それ以外にも、 劣悪な環境での長時間労働、人身売買による性産業での強制労働、子ども兵として軍事行動に参加させること も児童労働の課題です。
国際労働機関が公表している児童労働の現状によると、2016年時点で5~17歳による児童労働者数は1億5,200万人と言われており、ち7,300万人は危険有害労働を行っているとしています。
バングラデシュでは縫製、インドではマッチ製造、タイやミャンマーでは海老の加工で児童労働が行われており、インドやパキスタンで行われているサッカーボールの縫製も。アフリカでは、コーヒーや紅茶、ゴム、タバコの生産に従事している子どもが多いといいますから、すべてといいませんが、日ごろ、よく利用する製品が、児童労働で支えられているのかもしれません。