どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ぼんさいじいさま

2019年03月31日 | 絵本(日本)


    ぼんさいじいさま/木葉井 悦子:作・絵/ビリケン出版/2004年


 この絵本ときめて購入したり借りたりする以外には、タイトルや表紙の絵を見て選びます。
 表紙が盆栽で、「ぼんさいじいさま」とあるので、やや地味な印象でしたが、中身はまったく別の世界でした。

 盆栽が大好きな、ぼんさいじいさま。
 ある日、満開になったしだれ桜の盆栽をうっとりとながめていると、盆栽のなかにいたひいらぎの冠をつけた小さな小さな「ひいらぎ少年」が手を振ります。
 「ぼんさいじいさま、お迎えに来ました」
 「じいさま、きょうのことは ずーっとまえからきまっていました」

 そこでじいさまは、縁側にすわりなおして、たばこを一服。しだれ桜の枝にちょっとさわってから、背筋をすっと伸ばしていいます。
 「じゃ、でかけようか」

 ぼんさいじいさまを見送るのは、ひなのとき高い木の上から落ちて怪我をしていた山場、荷馬車にひかれて骨を折ったねこのクリ。どちらもおじいさんの世話になったのです。

 畑で鋤鍬をひいたり、荷馬車をひいた馬のサクラ、そして、でんでん虫、みみず、てんとう虫、からすもきつねも、みんなで「さよなら」をいいます。

 二人は、ゆっくりゆくり風の向こうにきえていきます。

 こんなふうにおだやかなお迎えがあったら、思い残すことはなさそうです。でも凡人にはこの境地にはなれそうもありません。

 ひいらぎ少年がでてきますが、ひいらぎは、古くから邪鬼の侵入を防ぐと信じられ、庭木に使われてきたようです。


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