おはなしは どこからきたの?/さくま ゆみこ・文 保立葉菜・絵/BL出版/2024年
子どもたちから”おはなし”をせがまれたマンザンダバは、”おはなし”を探しに出かけます。 ノウサギは、「100だって、1000だってはなせるよ。だけど、ちょっと今はいそがしいんでね」、子どもを背中にのせたヒヒは、「おはなしだって?食べられないものを、ほしがるなんて人間は、かわっているねえ。あたしはそれほどひまじゃないよ」、フクロウは、「せっかくいい気持でねむっていたのに、起こすんじゃないよ」と、相手にされません。
ゾウに聞くと、ウミワシなら、知っていそうだよといわれ、ウミワシのところへいくと、ウミガメをつれてきて、おはなしがみつかりそうなところへつれていってくれました。
つれていかれたのは海底の精霊の民がくらすりっぱな宮殿でした。宮殿の王と王妃から、「陸の上がどんなふうなのか、目で見えるように、おしえてもらいたい」といわれ、マンザンダバは、じぶんの家族や、家や村のようす、動物や鳥を 木に彫って、つぎの満月の夜、宮殿へ向かいました。王と王妃はとてもよろこび、感心しました。それから、うつくしい貝殻をだしてきて、「おはなしがほしいときは、この貝がらを耳にあてなさい。そうすれば、おはなしがつぎつぎにきこえてくるでしょう」といいました。
マンザンダバは、貝がらから聞こえてきたおはなしを、子どもたちだけでなく、村びとたちにも、毎晩かたってきかせました。
貝がらからからは、たくさんのおはなしがきこえてきました。そのおはなしが、村から村へ、町から町へ伝わっていき、世界中にひろがっていきました。
南アフリカのズールーの人びとに伝わるむかしばなしといいます。
木版画の多色刷りという絵は、華やかですが、派手さはありません。