どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

クモにょうぼう・・福井 

2023年01月06日 | 昔話(北信越)

          福井のむかし話/福井のむかし話研究会編/日本標準/1977年

 

 「食わず女房」は、めしをくわないよめをほしいという男がでてくるが、なにか男の身勝手がでているようで、手が出ない。

 この「クモにょうぼう」のパターンは「食わず女房」そのものですが、どこからか女がやってきて、ひとりもののおっじゃんのところで一緒になる出だし。

 よめさんもらってから、米びつの米が、どんどんへるんで、あやしいとおもったおっじゃんが、あるひ、山仕事にでかけるふりをして、よめさんを見張っていると、よめさんは、かまいっぱいにごはんをたいて、おにぎりをつくり、頭についている大きい口をあけて、おにぎりを いれていたので、びっくり。

 おっじゃんが、「米もへるし、米買う金もないから、でていってくれ」とよめさんにいうと、よめさんは、おおきいつぼを買ってくるようにいう。つぼを買うてくると、「つぼにはいってみ」といわれ、おっじゃんが つぼにはいると、よめさんは、いきなりつぼをかついで、山へ。

 つぼがあまりにも重いので、よめさんが、一服すると、そのすきにおっじゃんは、つぼをはいでてマツの木の上に。そこでやめればいいが、おじさんは、おそろしいのをがまんして、よめさんのあとつけていきます。

 小屋には、クモの子がぎょうさんいて、よめさんは子どもに、おにぎりをやります。すると、ばあちゃんがでてきて「わたしにも、みやげくれ」というので、よめさんが、もってきた つぼのなかをのぞくと、おっじゃんはいない。

 ばあちゃんは、「あしたの夜、クモになって、天井からぶらさがって、おっじゃんを、糸でまいて、とってくるわ。」という。

 それを盗み聞いたおじゃんは、次の日の夜、いろりに、どんどん火をたいてまって、クモをつかまえて、いろりの火に 燃やしてしまう。

 

 昔話の主人公は、およそ危機管理ゼロの存在。でもそうしないと、面白さがでてきません。


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