福井のむかし話/福井のむかし話研究会編/日本標準/1977年
「食わず女房」は、めしをくわないよめをほしいという男がでてくるが、なにか男の身勝手がでているようで、手が出ない。
この「クモにょうぼう」のパターンは「食わず女房」そのものですが、どこからか女がやってきて、ひとりもののおっじゃんのところで一緒になる出だし。
よめさんもらってから、米びつの米が、どんどんへるんで、あやしいとおもったおっじゃんが、あるひ、山仕事にでかけるふりをして、よめさんを見張っていると、よめさんは、かまいっぱいにごはんをたいて、おにぎりをつくり、頭についている大きい口をあけて、おにぎりを いれていたので、びっくり。
おっじゃんが、「米もへるし、米買う金もないから、でていってくれ」とよめさんにいうと、よめさんは、おおきいつぼを買ってくるようにいう。つぼを買うてくると、「つぼにはいってみ」といわれ、おっじゃんが つぼにはいると、よめさんは、いきなりつぼをかついで、山へ。
つぼがあまりにも重いので、よめさんが、一服すると、そのすきにおっじゃんは、つぼをはいでてマツの木の上に。そこでやめればいいが、おじさんは、おそろしいのをがまんして、よめさんのあとつけていきます。
小屋には、クモの子がぎょうさんいて、よめさんは子どもに、おにぎりをやります。すると、ばあちゃんがでてきて「わたしにも、みやげくれ」というので、よめさんが、もってきた つぼのなかをのぞくと、おっじゃんはいない。
ばあちゃんは、「あしたの夜、クモになって、天井からぶらさがって、おっじゃんを、糸でまいて、とってくるわ。」という。
それを盗み聞いたおじゃんは、次の日の夜、いろりに、どんどん火をたいてまって、クモをつかまえて、いろりの火に 燃やしてしまう。
昔話の主人公は、およそ危機管理ゼロの存在。でもそうしないと、面白さがでてきません。