長野のむかし話/長野県国語教育学会編/日本標準/1976年
じいさまとばあさまがかっていた犬は、ご飯をやると小判をうむ不思議な犬。それで、たちまち長者さまに なったと。
じいさまは、「そんなに、小判をうまんでもええぞ。うんと長生きしてくれや」と、犬を大事にし、困った人をみると、小判をめぐんでやっていた。ばあさまは、「村のもんに、そんなに小判をやることあねえ」と、おこってばかり。そして自分はきれいな着物を着て、うまいもんばかり食べ、山吹の花をながめて楽しんでいた。
ばあさまは、どんどん欲深くなって、蔵いっぱいの小判をためてえなあって思うようになった。犬は、ご飯を食べさせれば食べさせた分だけ小判をうんでいた。五合のごはんをくれると、五合の小判をうんだんだと。
「どうしてこんなことに早く気がつかなかったんだいなあ」とくやしがったばあさんは、六合、七合、八合と、くれていったもんで、小判は山のようにたまっていったと。
一升やると一升の小判、二升やると二升の小判。
それを知ったじいさまは、「そんねにむりをさせるもんでねえ。でえじにせにゃいけねえぞ」と、いいますが、ばあさんは、じいさまのいうことなんぞきかねえで、こっそり三升のご飯をくれると・・。
結末が想像できる話。欲にきりはないといいますが・・・。ずーっと昔、お金が必要ない時代もありました。