子どもに贈る昔ばなし18/小澤俊夫・監修/小澤昔ばなし研究所/2022年
ろうそくをしらなかった村の人が、和尚さんから土産にもらったのは赤いろうそく。村の中の物知りが、「町でかまぼこを売っているだろう。あれは赤い色をしている。だからかまぼこだ。食べるものに違いない」というと、みんなは赤いろうそくをかまぼこだと思い込みました。
そのかまぼこが、近所にも少しづつ分けられました。「和尚さんの土産かい。そりゃ、たべればきっと寿命も延びる」と、ほんの少しずつかじりました。すると、みんなおかしな顔をして、「かまぼこというのはこんなものかい。うまくないものだなあ」と言って、顔を見合わせました。
ところが、町にきた薬屋がいったことを聞いたとなりの男が、「あれはろうそくというもので、頭の先から火が出るそうだ。腹の中で、火が燃えたら、腹の中はめちゃくちゃだ。たべたらいかん」といったので、赤いろうそくを食べた人はおおあわて。「腹の中で火が燃えたらそれこそどうなるかわからん。こりゃ、水を飲まんといかん」と、水をがぶがぶ飲みました。
「なんにも知らないのに、知ったような 顔をしていうものではないよ」という話。
こんなわかりやすい例ではないが、あやしい情報が数多く発信されているので、要注意です。