イワシ大王のゆめ/チョン・ミジン・再話 イ・ジョンギュン・絵 おおたけ きよみ・訳/光村教育図書/2019年
イワシ、ヒラメ、ハゼ、エビなどがでてくるのですが、とにかく意表をつく絵です。
こんな描き方もあるのかとビックリ。魚の衣装?をみているだけで十分満足できます。
むかしむかし、三千年いきているイワシ大王が、ある日 とても不思議な夢を見ました。
「体が ぴょーんと 天高く とびあがり、すぐに ぽとんと おちました。それから雪が ふってきたと おもったら つぎに おひさまが てりつけ、あつくなったり さむくなったりする」という夢でした。
ただならぬ夢にちがいないと、イワシ大王は、ヒラメに よくあたることで 有名な 西の海のハゼを つれてくるように いいつけました。
ハゼのいる西の海は、とおくけわしいものでしたが、なんとか ヒラメはハゼをつれてきます。
ところが大王は、苦労してハゼをつれてきたヒラメに、ねぎらいの言葉ひとつもかけません。
ハゼは、大王の夢は 龍になるゆめと いいます。
「体が ぴょーんと 天高く とびあがり、すぐに ぽとんと おちた というのは 龍になって 天空を とびまわるということ。雪が ふったり おひさまが てりつけて、あつくなったり さむくなったりするというのは、季節と天気を おさめる 龍の力を あらわしてるのです」というのです。
おおよろこびのイワシ大王に、いかりを おさえきれないヒラメが 「龍だなんて ばからしい! これは イワシ大王が やきイワシに なるって ゆめだわい!」と とんでもないことをいいだします。
こんどは大王がおこってヒラメのほっぺたを ありったけの力でひっぱたたきました。そのためヒラメの 目はかたほうによってしまいます。
ひらめがぺったり うずくまると それが よりによってナマズの頭の上。おかげでナマズの頭はぺしゃりと つぶれてしまいます。
それをみていた マナガツオが 笑いをこらえようと、口をぎゅっと 長い間すぼめたので、マナガツオの 口は そのまま すぼんで しまいます。
エビは おなかをかかえて わらったので そのまま こしが まがってしまいます。
魚のちょっと楽しい由来話です。