かえるのつなひき/儀間比呂志/福音館書店/1972年初版
田んぼの稲に 悪い虫がわき ほっとくと 島中の田んぼにひろがりかねないありさま。
それを心配した王さまが、村全体の稲を焼き払うよう命令した。
王さまの命令だからと 泣く泣く 火をつけることにした村人たち。それを耳にした同じ村にいたカエルたちは、人間が食い物がなくなると つぎに食われるのは自分たちと、おとしよりに相談した。としよりのものしりがえるが、「あぜ道で おまつりさわぎを すればよい。それには 綱引きが いちばんだ」というので、カエルたちはさっそく おまつりの支度にかかった。
綱引きの日は、それはそれは にぎやか。稲にしがみついた虫が、次々に水の中に 落ちはじめた。天から見ていたカミナリもよろこんで ばんない ばんない 太鼓をたたくと 雨がふりはじめた。この大雨で 虫は流され、稲は命を とりもどした。そして、その年は、豊作に。
シンプルなお話ですが、見所聴きどころがいっぱい。
はじめに、「かーま かーまむかし、おきなわじまにあった はなし」ではじまり、おわりは、「とう うっき」(はいこれだけ)。
巨大な綱を二本つくりますが、この工程が見どころの一つ。
カエルが綱引きするため、二本足で立つ練習。太鼓や銅鑼の練習。
数えきれないほどの小さなカエルが、巨大な綱を引く光景も圧巻です。そして沖縄言葉のリズムも最高です。