弁天池と呼ばれる区域を縄張りにしているカイツブリのペアは、毎年営巣場所に苦労してきた。
今年一番子を岸辺近くの巣で育てたペアは、池に垂れ下がる枝に巣材を掛ける方式の巣で2番子の卵を抱卵し始めた。
▲枝かけ方式の巣
いよいよ雛が生まれるかという日、その巣は壊れてしまう。
▲水位が下がって、枝が浮いてしまった。
この区域では、昨年も同様の問題が起きている。
実は、この区域では、2018年、2019年とミズキの枝に作った巣で久しぶりに繁殖が成功した。
ミズキは、枝が混みあっていて、しかも枝先が上を向いているので、巣が安定する。
▲2018年のミズキの巣
しかし、その樹は冬に強剪定されてしまい、2020年の営巣場所探しはまた難航したのだ。
ペアは、再度別の場所に営巣して卵を産んだが、その場所は噴水の水がもろにかかるため、続かなかった。
三度目の正直で、浮巣を作る。
▲沈水植物(外来種のコカナダモのようだ)の上に切れ藻や葉を乗せた浮巣
浮巣はとても簡単に作れるが、やはり不安定なので、心配してみていた。
しかし、無事に雛が誕生する。
▲浮巣で4羽の雛が孵った。(9月24日)
かいぼり後、餌が豊富になり、カイツブリたちの繁殖の可否は、営巣場所に左右されることが目立ってきた。
地元のカイツブリたちの巣はだいたい、枝かけ方式・抽水植物方式・浮巣の3種があった。最近は、浅場の造成によって少しずつ抽水植物(ガマなど)の根元に作るものが増えてきている。巣としては一番安定しているかもしれない。
しかし、選択肢は多い方がいい。全部が抽水植物に頼る巣になってしまうと、その植物や場所に何か問題が起きたとき、営巣できなくなってしまうかもしれないからだ。
その昔、私が初めてこの池でカイツブリの子育てを観察した時の巣はこんなだった。
▲人が浮かせた板の上に営巣(2003年~2006年)
▲人工物の上(2003年)
つづく