夜の就寝中透析 働く患者に好評 福岡天神に専門クリニック開設
2016年12月12日 (月)配信西日本新聞
腎不全患者約32万人が週に3回、1回につき3~5時間受けている人工透析。拘束時間が長く、仕事を辞めざるを得なくなるなど生活の質(QOL)の低下が指摘されている。そうした中、夜寝ている間に受けられる「オーバーナイト透析」を実施するクリニックが、福岡市に開設された。仕事への影響が少ない上、8時間かけてゆっくりと血液を浄化するため体への負担が少なく、患者に好評という。
佐賀県伊万里市で前田病院を運営する医療法人「幸善会」(前田利朗理事長)が6月、福岡市・天神のオフィスビル1階に開いた。日中は通常の内科で、オーバーナイト透析は月、水、金曜日に実施。現在、糖尿病性腎症や慢性腎炎などを患う30~50代の8人が受けており、全員が日中働いている。
仕事を終えていったん帰宅して夕食を取り、入浴後に来院したり、残業後に直接来院したりして午後10時ごろに透析を始め、翌日午前6時ごろに終了する。間仕切りで個室のようになるため熟睡でき、通常の2倍近い8時間をかけて血液中の毒素を取り除くため、急激な血圧低下が少なく、ふらつきなども避けられるという。
遺伝性疾患の多発性嚢胞(のうほう)腎の会社員男性(31)=福岡市=は以前、別の病院で日中に5時間透析を受けていたが、オーバーナイト透析を始めてから顔色が良くなり、むくみや治療後の倦怠(けんたい)感がなくなったという。「前は早退ばかりで、職場で肩身が狭かった。今はきちんと働けて、体も楽でありがたい」と話す。
院長を務める前田理事長によると、針は腕に頑丈に固定するため、寝相が悪くても抜けることはない。万一抜けてもアラームが鳴り、看護師と技師、当直医がすぐ対応するという。
一方、医療機関に支払われる診療報酬は日中も深夜も同じで、患者の自己負担額も同じ。このため人件費がよりかかるオーバーナイト透析を行う医療機関は少なく、全国では20カ所余り、九州では北九州市など数カ所にとどまる。「社会的理解は進んでいるとはいえ、透析で職を失う人は今も少なくない。働き続けることは経済的自立や生きがいにもつながり、応援したい」と前田院長は話している。
2016年12月12日 (月)配信西日本新聞
腎不全患者約32万人が週に3回、1回につき3~5時間受けている人工透析。拘束時間が長く、仕事を辞めざるを得なくなるなど生活の質(QOL)の低下が指摘されている。そうした中、夜寝ている間に受けられる「オーバーナイト透析」を実施するクリニックが、福岡市に開設された。仕事への影響が少ない上、8時間かけてゆっくりと血液を浄化するため体への負担が少なく、患者に好評という。
佐賀県伊万里市で前田病院を運営する医療法人「幸善会」(前田利朗理事長)が6月、福岡市・天神のオフィスビル1階に開いた。日中は通常の内科で、オーバーナイト透析は月、水、金曜日に実施。現在、糖尿病性腎症や慢性腎炎などを患う30~50代の8人が受けており、全員が日中働いている。
仕事を終えていったん帰宅して夕食を取り、入浴後に来院したり、残業後に直接来院したりして午後10時ごろに透析を始め、翌日午前6時ごろに終了する。間仕切りで個室のようになるため熟睡でき、通常の2倍近い8時間をかけて血液中の毒素を取り除くため、急激な血圧低下が少なく、ふらつきなども避けられるという。
遺伝性疾患の多発性嚢胞(のうほう)腎の会社員男性(31)=福岡市=は以前、別の病院で日中に5時間透析を受けていたが、オーバーナイト透析を始めてから顔色が良くなり、むくみや治療後の倦怠(けんたい)感がなくなったという。「前は早退ばかりで、職場で肩身が狭かった。今はきちんと働けて、体も楽でありがたい」と話す。
院長を務める前田理事長によると、針は腕に頑丈に固定するため、寝相が悪くても抜けることはない。万一抜けてもアラームが鳴り、看護師と技師、当直医がすぐ対応するという。
一方、医療機関に支払われる診療報酬は日中も深夜も同じで、患者の自己負担額も同じ。このため人件費がよりかかるオーバーナイト透析を行う医療機関は少なく、全国では20カ所余り、九州では北九州市など数カ所にとどまる。「社会的理解は進んでいるとはいえ、透析で職を失う人は今も少なくない。働き続けることは経済的自立や生きがいにもつながり、応援したい」と前田院長は話している。