NEC、人工知能で創薬新会社 がん治療向け物質発見
2016年12月21日 (水)配信朝日新聞
NECは19日、AI(人工知能)を使った創薬事業に参入すると発表した。がんの新たな治療薬として注目される「ペプチドワクチン」について、すでにAIを使って有望な物質を発見済み。2025年ごろの実用化を目指し、開発を進める新会社を今月設立した。
ペプチドワクチンによる治療は、がん細胞が特徴的に持つたんぱく質の一部を人体に入れることで、患者の免疫を活性化させる。手術や抗がん剤、放射線など従来の治療法に比べて副作用が少ないとされ、注目を集めている。
ただ、ペプチドはアミノ酸の配列によってたくさんの種類にわかれ、がん治療に使える可能性があるものだけで約5千億通りある。この中から免疫を活性化する効果が高く、対象となる患者の範囲が広いものを選ぶには膨大な時間とコストがかかり、開発の障害となっている。NECは01年から有望な物質を探す実験とAIの機械学習を組み合わせて、新薬の候補となる物質を絞り込む研究を進めてきた。
開発を進めるペプチドは、13年から山口大、高知大との共同研究を始め、約1年という短い期間で発見したもの。食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓(すいぞう)がん、乳がんについて日本人の約85%で治療に使えるとみられるという。
今後の開発は16日に設立した新会社「サイトリミック」が担う。NECが39・9%、残りをSMBCベンチャーキャピタルなどのファンド3社が出資する。5年かけて臨床試験を終わらせた後、製薬会社などと連携して発売を目指す。
NECの清水隆明執行役員常務は「AIを使えば、創薬における時間やコストを圧倒的に抑えた上で、非常に有効な結果を得られる」と語った。NECも、がん治療に有効なペプチドの研究を続けるとしている。(鈴木友里子)
2016年12月21日 (水)配信朝日新聞
NECは19日、AI(人工知能)を使った創薬事業に参入すると発表した。がんの新たな治療薬として注目される「ペプチドワクチン」について、すでにAIを使って有望な物質を発見済み。2025年ごろの実用化を目指し、開発を進める新会社を今月設立した。
ペプチドワクチンによる治療は、がん細胞が特徴的に持つたんぱく質の一部を人体に入れることで、患者の免疫を活性化させる。手術や抗がん剤、放射線など従来の治療法に比べて副作用が少ないとされ、注目を集めている。
ただ、ペプチドはアミノ酸の配列によってたくさんの種類にわかれ、がん治療に使える可能性があるものだけで約5千億通りある。この中から免疫を活性化する効果が高く、対象となる患者の範囲が広いものを選ぶには膨大な時間とコストがかかり、開発の障害となっている。NECは01年から有望な物質を探す実験とAIの機械学習を組み合わせて、新薬の候補となる物質を絞り込む研究を進めてきた。
開発を進めるペプチドは、13年から山口大、高知大との共同研究を始め、約1年という短い期間で発見したもの。食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓(すいぞう)がん、乳がんについて日本人の約85%で治療に使えるとみられるという。
今後の開発は16日に設立した新会社「サイトリミック」が担う。NECが39・9%、残りをSMBCベンチャーキャピタルなどのファンド3社が出資する。5年かけて臨床試験を終わらせた後、製薬会社などと連携して発売を目指す。
NECの清水隆明執行役員常務は「AIを使えば、創薬における時間やコストを圧倒的に抑えた上で、非常に有効な結果を得られる」と語った。NECも、がん治療に有効なペプチドの研究を続けるとしている。(鈴木友里子)